英文誌(2004-)
特別プログラム 体表臓器
パネルディスカッション1 <診療に活かす> 甲状腺濾胞性腫瘍の超音波診断
(S362)
外科医からみた甲状腺濾胞性腫瘍の診断
Diagnosis of the follicular thyroid neoplasm from the surgeon
鈴木 眞一
Shinichi SUZUKI
福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座
Dept. of Thyroid and Endocrinology, Fukushima Medical University
キーワード :
【目的】
甲状腺濾胞性腫瘍の鑑別診断は最終的には病理診断でなされる.そのため術前診断は困難を極める.現時点では我々は201Tlシンチグラフィ,腫瘍径,血中サイログロブリン値や超音波診断などを参考に外科手術を実施している.手術を施行する外科医の視点から甲状腺濾胞性腫瘍の術前診断につき超音波検査を中心にその有用性につき前向きに検討する.
【対象】
術前201TLシンチグラフィないし穿刺吸引細胞診にて濾胞癌が疑われ手術適応となった22例である.
【方法】
術前の腫瘍径,血中サイログロブリン,穿刺吸引細胞診,抗Tg抗体,超音波Bモード像,ドプラ像および組織弾性イメージングの一つであるReal-time Tissue Elastography (RTE)によるGrade 分類につき検討した.
【結論】
手術の結果,11例は濾胞癌であった.11例は良性病変でその内訳は7例が濾胞腺腫,2例が腺腫様結節,橋本病およびAFTNが各1例であった.以下,術前の検討項目につき濾胞癌群と良性群で比較した.腫瘍径,Tg,Tg抗体,Tlシンチグラフィでの診断,穿刺吸引細胞診いずれも有意差を認めなかった.Bモードでは濾胞癌は70%が悪性診断で,良性群では75%が良性と診断されている(p=0.024).ドプラモードでは悪性群は約80%が悪性と診断されたものの,良性群は40%しか良性とは診断されなかった(p=0.035).RTEでは濾胞癌群は100%悪性と診断され,良性群は80%強が良性と診断された(p<0.0001).
【結論】
甲状腺濾胞性腫瘍の術前診断には超音波診断は有用で有り,特にRTEは有用であった.