宮川 めぐみ

Megumi MIYAKAWA

虎の門病院内分泌代謝科

Endocrine Center, Toranomon Hospital

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甲状腺の濾胞性腫瘍には良性の濾胞腺腫と悪性の濾胞癌がある．このうち濾胞癌の最終診断は摘出標本での病理組織で腫瘍の被膜浸潤と血管侵襲を認めた場合，あるいは臨床的に肺や骨への遠隔転移を認めた時に診断されるため，術前での超音波検査と穿刺吸引細胞診で確定診断することは困難である．濾胞癌は浸潤の程度により微少浸潤型（minimally invasive type）と広汎浸潤型（widely invasive type）とに分類されるが，とくに微少浸潤型濾胞癌と濾胞腺腫との鑑別は画像上からは困難である．超音波上甲状腺結節の良悪性の鑑別はBモード画像が基本であるが，そこにカラードプラ法による血流情報を追加することでより有用な情報が得られる．とくに悪性腫瘍では周辺部に加えて結節内部にも豊富に血流を認めることが多い．カラードプラ所見はバスキュラリティ，血流インデックス，血流形態を総合的に評価していく．濾胞腺腫（follicular adenoma）超音波上，多くは単発性で形状は円形あるいは楕円形で辺縁は平滑な充実性腫瘤を示す．境界部には厚い被膜を有しており全周性に均一な低エコー帯を認める．結節内部は均一なことが多いが，中心部付近にしばしば嚢胞変性がみられる．カラードプラ上血流は結節周辺部に多く，結節内の血流は少ない．しかし，機能性結節（AFTN: autonomously functioning thyroid nodule）の場合（Plummer病を含む），カラードプラで内部に豊富な血流を認める．濾胞癌（follicular carcinoma）超音波Bモード所見として，4cm以上の充実性結節で，内部低エコー，境界不明瞭，リング状の石灰化が特徴的である．カラードプラでは血流が腫瘍内部に豊富に認められることが多く，今までの報告でも腫瘍内血流の存在は悪性を疑う所見として感度，特異度ともに75〜80％と高い．Fukunariらは濾胞癌44例での結果をまとめ，腫瘍内部の血流豊富の所見は感度：88.9％，特異度：74.2％であったと報告している（1）．さらに腫瘍血管の血流波形分析を行なうと，血流インデックスのカットオフ値は濾胞癌ではVmax/Vmin＞3.79, PI＞ 1.35, RI＞0.78となるとの報告もある（2）．PI（pulsatility index）:（ V max V min ）/V meanRI（resistance index）:（ V max V min ）/V max
【著者のCOI開示】
本論文の発表内容に関連してとくに申告なし．
【参考文献】
1.Fukunari et al. Clinical evaluation of color Doppler imaging for the differential diagnosis of thyroid follicular lesions. World J. Surg 2004, 28: 12611265.
2.Miyakawa et al. Diagnosis of thyroid follicular carcinoma by vascular pattern and velocimetric parameters using high resolution pulsed and power Doppler ultrasonography. Endocr J 2005, 52: 207-212.