Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
シンポジウム15 <治療に活かす> ソナゾイド®による乳腺造影超音波検査の臨床応用

(S358)

乳腺造影超音波検査の展望

The Future of Contrast Enhanced Ultrasonography of the Breast

髙田 悦雄

Etsuo TAKADA

獨協医科大学超音波センター

Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University

キーワード :

【目的】
肝腫瘤性病変のみに保険適応があったソナゾイドが昨年8月に乳房腫瘤性病変についても適応となった.第Ⅱ相,第Ⅲ相臨床試験を経て,実際の臨床に使われるようになってまだ半年も経過していない.一方,乳腺の超音波診断はB-モードを中心とする(造影を行わない)検査でも良好な成績である.そこにどのように造影検査を使用していけば良いか,着目点と今後の展望について検討したい.
【対象と方法】
当施設で行なった第Ⅱ相,第Ⅲ相臨床試験の症例を中心に,第Ⅲ相臨床試験の結果およびまだ少ない乳腺領域の造影超音波に関する文献を検討し,効率の良い乳腺造影超音波検査と,今後どのように増え永検査を行なっていくか検討した.
【結果と考察】
ブラインドリーダーによる第Ⅲ相試験の単純超音波検査の正診率は65.5%であったのに対し,造影超音波検査では87.2%であった.造影検査が優れていたのは特異度で,単純超音波検査の57.7%に対して85.4%であった.単純超音波検査の造影剤がやや低い印象であるが,造影検査は時間も掛かり,コストもそれなりに発生するので,この結果からすべての症例に造影を行なうというものでもない.造影検査が有効と思われるのは・良悪性の診断に苦慮する症例・非腫瘤性病変の診断・広がり診断・化学療法・ホルモン療法の効果判定・治療方針の決定・センチネルリンパ節の同定などである.
【結語】
乳房超音波造影検査は臨床に使われるようになってまだ間がなく,少しずつ知見が出つつあるところであり,今後検討すべき点も多い.乳房造影超音波検査について検討するワーキンググループも組織されている.知恵を出し合い有効で効率の良い乳房超音波検査法の確立を目指したい.