Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
シンポジウム15 <治療に活かす> ソナゾイド®による乳腺造影超音波検査の臨床応用

(S356)

乳腺ソナゾイド造影超音波の2nd look USへの応用

The application of CEUS with Sonazoid for 2nd look US in breast tumors

平井 都始子1, 中村 卓2, 丸上 亜希3, 伊藤 高広3, 武輪 恵3, 丸上 永晃1, 小林 豊樹4

Toshiko HIRAI1, Takashi NAKAMURA2, Aki MARUGAMI3, Takahiro ITOU3, Megumi TAKEWA3, Nagaiaki MARUGAMI1, Toyoki KOBAYASHI4

1奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 2三重大学医学部附属病院乳腺センター, 3奈良県立医科大学放射線科, 4奈良県立医科大学第一外科

1Endoscopy and Ulrtasound, Nara Medical University, 2Breast center, Mie University hospital, 3Rdiology, Nara Medical University, 4First Surgery, Nara Medical University

キーワード :

【目的】
2nd look USはMMGで指摘されているがUSでは指摘できない病変,造影MRIで新たに指摘された病変やUSで指摘されていても造影MRIと画像所見に乖離がある病変に対して施行される.しかし,MMGやMRIの情報を認識した上でUSを施行しても,圧迫や体位の変化により乳頭に対する病変の位置や形態が変化するため,周囲乳腺組織とエコーレベルの差がほとんどない場合はMMGや造影MRIで指摘された病変を検出することは困難である.また,低エコー域や小嚢胞の集簇など非腫瘤性病変が捉えられても,同様の変化が数か所みられた場合はMRIで濃染する病変に一致する部位を特定できないこともある.このようにBモード像だけでは検出や病変の範囲の特定が困難な病変に対して,造影超音波を施行することにより病変が明瞭に描出できれば,より正確な診断や治療が可能と考えられる.そこで,2nd look USに造影超音波を応用することの有用性について検討した.
【対象】
MMGまたは造影MRIで指摘された病変がUSでは検出できなかった7病変と,不整形低エコー域や小嚢胞の集簇など非腫瘤性病変は捉えられるが病変の範囲を特定できなかった14病変の計21病変について2nd look USで造影超音波を施行した.2012年8月以前の症例については,院内の倫理委員会の承認のもとでインフォームドコンセントを得て実施した.
【方法】
使用装置は,GE healthcare社製LOGIQ E9,9LまたはML6-15リニアプローブを用いた.造影モードは振幅変調法,MI値は0.2程度,フォーカスは病変の深部付近である.ソナゾイドは0.01ml/kg体重をボーラス静注し,投与後約45秒までは病変が存在すると思われる断面で観察.その後病変の存在を疑う領域を2方向からスイープスキャンした.積算画像を作成し,造影超音波で濃染する領域を造影MRIと比較した.また,その後の経過から造影超音波併用2nd look USの有用性を検討した.
【結果】
1.USで指摘できない病変(7病変) 
6病変は造影MRIで濃染する病変が指摘され,1病変はMMGで微細石灰化の集簇として指摘されMRIでは異常を認めなかった病変である.MRIで濃染する病変を認めた6病変中5病変は造影超音波でも同様の濃染を確認し,生検によりいずれも良性病変と診断された.1病変はMRIでは8mm大の濃染を認めたが,造影超音波では病変の存在が疑われる領域がびまん性濃染を示し,病変を特定できず経過観察となった.MMGで指摘されMRIで濃染を認めなかった病変は,造影超音波でも濃染する病変を指摘できず,手術によりepitheliosisであった.
2.USで非腫瘤性病変を指摘できた病変(14病変) 
14病変は全て造影MRIで濃染する病変を指摘されたもので,造影超音波でも同様の濃染を認めた.11病変は手術が施行され,2病変は浸潤性乳管癌,8病変はDCIS,1病変はatypical ductal hyperplasiaであった.2病変はマンモトーム生検で1病変が浸潤性乳管癌,1病変は良性病変で経過観察中.1病変は病理の結果待ちである.
【結果のまとめと考察】
USで検出困難な場合でも,造影MRIで濃染する病変は造影超音波でも造影される領域として認識することができ,手術やマンモトーム生検で確実に病理診断することが可能であった.特に非腫瘤性病変として捉えられた病変は全て造影MRIと同様に濃染する病変が捉えられ,濃染病変の形態や広がりも比較的近似していたことから,USで病変を確実に捉えられない場合は,2nd look USの際,造影超音波を積極的に応用するべきと考えられた.