Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 体表臓器
シンポジウム5 <治療に活かす> 乳腺領域におけるエラストグラフィの精度と臨床応用

(S354)

Elastographyと乳癌術前化学療法との関係

Correlations between elastographic value and treatment responses to neoadjuvant chemotherapy in breast cancer

林 光博, 山本 豊, 岩瀬 弘敬

Mitsuhiro HAYASHI, Yutaka YAMAMOTO, Hirotaka IWASE

熊本大学乳腺・内分泌外科

Breast and Endocrine Surgery, Kumamoto University

キーワード :

【背景】
乳房超音波Elastographyは腫瘍弾性度を客観的に評価することが可能であり,乳房病変の良悪性鑑別に臨床適用されている.乳癌の治療はエストロゲン受容体,HER2発現を中心とした腫瘍特性に応じて行われており,術前化学療法の効果もその腫瘍特性によって異なることが知られている.近年PETやMRIによる治療前の腫瘍評価が術前化学療法の腫瘍縮小効果と関連するとの報告がなされており,Elastography評価と術前化学療法との関係が類推される.
【対象と方法】
当院にて術前化学療法を行った原発性乳癌のうち,治療前にElastography評価を行っていた55症例を対象とした.これらにおいて術前化学療法の臨床病理学的治療効果と腫瘍弾性度評価との関係を検討した.
【結果】
弾性度評価にTsukuba scoreを用いると,低スコア群(score 1〜3)では高スコア群(score4〜5)に比べて,臨床完全奏効率(cCR)と病理学的完全奏効率(pCR)は共に高値であり,相対的に柔らかい腫瘍の方が,腫瘍縮小効果が良好な結果であった.更にpCRに対する多変量解析を行うと,女性ホルモン受容体,HER2発現と並んで,腫瘍弾性度評価が独立した効果予測因子となった.
【考察】
Elastographyによる治療前の腫瘍弾性度評価が,その後の術前化学療法の効果と相関することが示された.Fat Lesion Ratio(FLR)を用いた評価についても同様に検討し報告する.