Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 腎泌尿器
シンポジウム12 <診療に活かす> 末期腎不全診療に超音波を活かす

(S339)

二次性副甲状腺機能亢進症の診断・治療と超音波検査

Relationship between ultrasonography and treatment strategy of Secondary hyperparathyroidism

角田 隆俊

Takatoshi KAKUTA

東海大学医学部腎内分泌代謝内科

Division of Nephrology, Endocrinology and Metabolism, Tokai University School of Medicine

キーワード :

透析患者の「Ca・P代謝異常」が,骨代謝ばかりでなく血管病変と重要な関わりがあることが明らかになり,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は腎性骨異栄養症としての骨疾患から生命予後にかかわる合併症としての比重が増加してきた.最近では全身性疾患としてとらえられるようになり,「慢性腎臓病にともなう骨ミネラル代謝異常: CKD-MBD」という概念が提唱されている.生命予後を第1に考えたガイドラインも各国で作成されている[1].SHPTの診断・治療を行う上で画像検査の主軸をなすものが超音波検査(US)である.USの役割には腫大副甲状腺の局在診断と機能の把握があげられる.①局在診断内科的治療に抵抗性をしめす患者への対策として副甲状腺摘出術(PTx)と副甲状腺エタノール注入療法(PEIT)で対処しなければならない.PTxと副甲状腺へのPEITをあわせて副甲状腺インターベンションと称される.これらの治療には副甲状腺の局在診断が欠かせない.通常副甲状腺は甲状腺の背側に位置し,上副甲状腺はほとんどが甲状軟骨と輪状軟骨の境界付近の高さで,甲状腺側葉上1/3付近に存在する.一方,下副甲状腺は下極付近に存在することが多いが約10%が発生を同じくする胸腺と共に前縦隔内にみられる.ほとんどがUSで把握でき,生化学データが,高いにもかかわらず相当する腫大副甲状腺腫が見つからない場合のみ他の画像診断を必要とする.②機能の把握 内科的治療限界の把握と治療法選択には副甲状腺のサイズが大きく関わる.USにより,最大腺の長径が1cm以上の場合には,活性型ビタミンDでPTHの過剰分泌を長期に抑制することは困難であると報告されており同時に大きさが機能を反映することも報告されている.超音波上,長径1cm以上(体積500mm3)の副甲状腺が描出されれば,病理学的に結節性過形成内科的治療の主要な限界因子であると考えられる.また,副甲状腺の重さとUSによるサイズが比例し副甲状腺腫の質よりもサイズがホルモン分泌量と比例することも報告されている.以上を踏まえて日本のCKD-MBDのガイドラインには超音波所見による治療法の区分けがなされている[2].血流評価もUSで可能なPTGの機能評価である.病理学的に結節性過形成であり,分泌機能が高ければ内部の血流量が多くなり,ドプラで血流分布を評価することにより副甲状腺腫のホルモン分泌量が把握できる.また,PEIT前後の血流状態の評価は,その治療が十分行われたかどうかの判断にもなる.血流を目安に,PEITを施行することで,PTG内へのエタノール注入量と反回神経麻痺を減らす工夫がなされている.また体積を算出することで,PEIT時の必要アルコール注入量を求めることができる.今回は上記に加え内科的治療評価にもUSが有用であることを含め報告する.
1.慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン.透析会誌45: 301-356, 2012
2.Kakuta T, Tanaka R, Kanai G et al. Realationship Between the Weight of Parathyroid Glands and Their Secretion of Parathyroid Hormone in Hemodialysis Patients With Secondary Hyperparathyroidism. T A D. 12: 385390, 2008.