Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション17 <治療に活かす> 小膵癌:超音波検査を用いたステージⅠへのアプローチ

(S284)

膵癌早期診断のための適正な検診間隔を検証するための多施設無作為割付け試験(PANDRA)

A multicenter randomized study of comparing every 3 months- or six months-screening examination for the early diagnosis of pancreatic cancer(PANDRA)

井岡 達也1, 田中 幸子2, 蘆田 玲子1, 高倉 玲奈3, 大川 和良4, 片山 和宏1, 4

Tatsuya IOKA1, Sachiko TANAKA2, Reiko ASHIDA1, Rena TAKAKURA3, Kazuyoshi OHKAWA4, Kazuhiro KATAYAMA1, 4

1大阪府立成人病センター検診部消化器検診科, 2大阪がん循環器病予防センターセンター長, 3大阪がん循環器病予防センターがん予防部門, 4大阪府立成人病センター肝胆膵内科

1Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and CVD, 2Director, Osaka Center for Cancer and CVD Prevention, 3Dept. of Cancer Prevention, Osaka Center for Cancer and CVD Prevention, 4Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka Medical Center for Cancer and CVD

キーワード :

【目的】
膵癌はその多くが進行癌で診断されていることが長期予後不良の大きな要因である.高危険群を囲い込み,充分な経過観察を行なうことが早期診断のために有効であろうと考えられる.我々は先行する前向き試験において,膵管拡張および嚢胞が統計学的に有意な高危険因子であることを明らかとした(ハザード比: 27.50, P=0.002, Tanaka S, et al. Radiology 2010, 254(3); 965-972)が,早期癌診断のための効率的な検診間隔について定まった見解を得ていない.そこで,適切な検診間隔を検証するための無作為割り付け試験を計画した.
【対象】
画像検査にて,膵のう胞および主膵管拡張を有する膵癌高危険群を対象とし,年齢は75歳未満で,耐術可能な被検者を対象とした.なお,超音波検査にて描出不良部位が多い被検者を除外した.
【方法】
超音波検査法は,膵臓の描出改善のために,半座位で,液体による胃充満法を用い,3か月ごとに超音波検査と血液検査を行う群と6カ月ごとに超音波検査と血液検査を行う群に,最小化法を用いて無作為に割り付けを行った.また,両群について,1年ごとに造影腹部CT検査を行った.なお,本研究は,大阪府立成人病センター倫理審査委員会の承認後,被検者に対する文書同意を得て行っている(UMIN 000005043).
【結果】
2010年4月から本研究を開始した.スクリーニング検査をおこなった262名のうち,145名が本研究の適格条件を満たした.145名に対して,DVDを用いた本研究のインフォームドコンセントを行ったところ,122名(84%)が本研究の参加に同意した.本研究は,その後,多施設研究に拡大され,PANDRAプロジェクト(Pancreatic cancer Diagnostic Network with Randomized Study)として,リニューアルされた.JA広島総合病院の藤本先生らが参加され,積極的に被検者を登録している.
【結語】
今後はより効率の高い定期検診による早期診断が,外科手術を含めた膵癌の治療成績を改善するものと期待している.