Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション7 <診療に活かす> 肝疾患の診断治療に必要な新技術

(S277)

肝癌のラジオ波治療における穿刺針ナビゲーションシステムVirtu TRAXの有用性

Utility of the new Needle Guidance System “VirtuTRAX” for Radio frequency ablated therapy

田中 弘教1, 池田 直人2, 高嶋 智之2, 岩田 一也2, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Hironori TANAKA1, Naoto IKEDA2, Tomoyuki TAKASHIMA2, Kazunari IWATA2, Shuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科学肝胆膵科

1Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
ラジオ波焼灼術(RFA)施行時の問題に,焼灼に伴って発生するバブルの影響による針先端位置確認の困難化がある.国内で頻用されている単針のCool-tip針は焼灼範囲が紡錘形となるので,25mm以上の結節に十分な安全域を確保するためには追加焼灼が必要であるが,追加焼灼時の針先確認は,回数を重ねる毎に困難となる.また肝表病変治療時に,正確な針先端位置確認ができれば,腹壁熱傷の回避につながる.展開針では展開後に針先端部が不明瞭となりやすいが,針先が容易に同定できれば,焼灼範囲推定が容易となる.これまで針の先端位置確認システムにはGEのNeedle Trackingが使用可能であったが,現実的には18G より細い針しか使用できず,RFA治療への応用は不可能であった.2012年,10-17G針においてもブラケットで固定することにより使用可能な穿刺針ナビゲーションシステムVirtu TRAXが使用可能となった.今回当院で使用する機会を得たので,RFA時の有用性と問題点についても検討した.
【方法】
2012年9月から11月に当院でVirtu TRAXを使用してRFA施行した6例を対象とした.装置はGE社製Logiq E9,探触子はC1-5を使用し,針先の視認性や位置ずれの程度など検討した.
【結果】
全症例でVirtu TRAXにより針先端位置確認が容易となり,RFA治療補助に有用であった.代表的な3症例を提示する.症例1は67歳女性で,S6に20mmの直腸癌転移巣あり,展開針使用しRFAを施行した.Virtu TRAXによりフリーハンドでの穿刺が容易であり,穿刺角度によるプローブの位置調整も必要なく,脈管をさけた穿刺経路の設定もスムーズであった.穿刺途中に穿刺方向を微調整するときも,通常可視化できない穿刺針に負荷がかかる様子が明瞭に観察可能となり,正確な針挿入に有用であった.針展開時にも,展開方向の理解が容易となり,肝裏面の病変であったが安全に展開可能であった.また展開後も針先位置が常に表示され,針位置不明瞭化の問題も解消できた.症例2は69歳の女性で,S8に 33mmのHCCを認め,Cool-tip針でRFA施行した.一度の焼灼では十分な安全域の確保困難であり追加穿刺したが,焼灼範囲内での針位置の確認が容易であった.症例3は中肝静脈,右肝静脈,下大静脈に囲まれた23mmのHCC.リバースで穿刺したが,穿刺方向調整時の穿刺針への負荷により,特に深部で穿刺針とバーチャル表示位置ずれが大きくなるという問題も明らかとなった.
【結論】
穿刺針ナビゲーションシステムVirtuTRAXは,針先端位置を高精度かつ簡便に表示可能であり,ラジオ波治療の安全・確実な治療に必須となりうる新技術である.