Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム4 <治療に活かす> 肝線維化の画像診断

(S273)

肝針生検による慢性肝炎・肝硬変の病理診断の実際について

Practical pathological diagnosis of chronic hepatitis and liver cirrhosis by liver needle biopsy

鹿毛 政義

Masayoshi KAGE

久留米大学病院病理部

Department of Diagnostic Pathology, Kurume University

キーワード :

【はじめに】
肝生検は,肝臓の線維化の状態を正確に把握できる有用な検査である.しかし,肝針生検で得られる組織は肝臓全体の5万分の1とも言われ,必ずしも肝臓の全体像を反映するものではなく,かつ,制約のある生検組織での肝小葉構築の改変の評価や肝硬変の診断はしばしば困難である.肝炎ウイルスに関連する慢性肝炎および肝硬変の診断と線維化の評価の実際と問題点について説明したい.
【病理診断の実際】
1.慢性肝炎の犬山分類における線維化(F)の評価法について
1) 肝小葉構築の評価の方法−F2とF3の鑑別 肝小葉構築の正しい評価は,慢性肝疾患の肝病変の進行程度を知る上で重要である.慢性肝炎に見られる肝小葉構築の歪みは,肝細胞の結節状の再生活動と線維性架橋による,門脈域と中心静脈の相互位置関係の破綻として認識される.小葉構築評価の留意点は,架橋性線維化を重視し過ぎないことである.架橋性線維化は肝小葉改築の重要な指標であるが,線維性架橋の存在は必ずしも肝小葉構築の歪みを意味しない.肝小葉構築の評価のポイントは,生検肝標本を見るとき弱拡大で組織全体を概観し,まず標本に分布する門脈域と中心静脈の位置関係を把握し,それらの‘分布や位置関係’について,まず評価することが肝要である.
2)慢性肝炎(F3)と肝硬変(F4)との鑑別 明瞭な再生結節と線維性隔壁が存在すれば,肝硬変の診断は針生検でも容易である.しかし,慢性肝炎(F3)と肝硬変(F4)との鑑別に迷う場合は多い.即ち,肝小葉構築の改変が進行した慢性肝炎と初期の肝硬変との鑑別に苦慮する症例がある.これには,2つの理由がある.1つは,慢性肝炎から肝硬変に進展する過程は,形態学上は連続したものであり,両者を明確に区別出来ない,“移行期にある症例”が存在するからである.この場合,肝小葉構築の改変の進んだ慢性肝炎(F3)と肝硬変の鑑別を肝組織所見のみで無理に行う必要はない.臨床・検査所見も考慮し病理診断すべきである.もう1つの理由は針生検によって採取される組織は細く,観察できる範囲が限られているため,肝小葉構築の評価がそもそも難しいからである.しかも腫瘍生検に用いる細い生検針(21G)で採取された細い組織では,門脈域が含まれないこともあり,門脈域の線維化や門脈域と中心静脈との位置関係の把握が困難となる.肝組織の長さに加えて太さ(組織標本上では幅)が重要であり,少なくとも19G以上の太さの生検針を使用すべきである.
2.肝硬変の病理診断についてB型とC型肝炎ウイルスに関連した肝硬変(B型肝硬変,C型肝硬変)の肝生検診断に際し,それぞれに特徴があることを念頭におくべきである.B型肝硬変は大きな結節を呈する症例が多く,針生検の“幅の狭い組織”の中には再生結節が含まれないことがある.従ってB型肝硬変の診断には太い生検針の使用が望ましい.一方,C型肝硬変は,全体的に再生結節は小さく,標本内に再生結節を確認しやすい.また線維性隔壁の幅も広い例が多いのも,C型肝硬変の特徴である.
3.肝病変の不均一性について F3の慢性肝炎や肝硬変においては肝病変の進行に伴い病変の不均一性が目立ってくる.肝硬変では,瀰漫性に再生結節が形成されるが,病理形態は均一ではなく,同一肝でも部位によって再生結節や線維性隔壁の形態が異なる例がある.病理診断に当たり,サンプリングの部位によって組織像が異なることも銘記すべきである.
【まとめ】
肝生検による慢性肝炎・肝硬変の線維化や肝小葉構築の評価には,太くて長い生検組織の採取が望ましく,病理診断は成因や臨床所見を考慮してなされるべきである.