Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム4 <治療に活かす> 肝線維化の画像診断

(S270)

Shear waveによる肝線維化診断と発癌予測

Evaluation of liver fibrosis and risk for liver cancer by Virtual Touch Tissue Quantification

青木 智子1, 2, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Tomoko AOKI1, 2, Shuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科

1Depertment Ultrasound Imaging center, Hyogo College of Medicine, 2Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患からの発癌に関して様々な危険因子が報告されているが,Shear wave の有用性についての報告は多くない.Shear waveによる肝線維化診断の有用性と機種間の相関また,Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)の発癌予測について検討を行った.
【対象・方法】
①H20/10〜H24/7にVTTQを行った慢性肝疾患1088例 (男性564例,平均年齢60.4歳)を対象とした.②うち853例(男性404例,平均年齢56.6歳)は肝生検と同日にVTTQを測定し,③172例はShear wave Elastography(SWE)(男性77例,平均年齢56.7歳)も,④121例(男性61例,平均年齢54.0歳)はFibroscanも同日に施行した.各モダリティと新犬山分類による線維化ステージを比較検討し,ROC曲線にて,線維化の程度を判別できるカットオフ値の検討を行った.また,発癌に相関する因子を検討する目的で,年齢,性別,脂肪肝診断,血液検査,Vsを用いてロジスティック回帰分析を行った.
【成績】
①のうち発癌歴のない症例は681例でHCVAb(+):395例,HBsAg(+):132例,HCVAbかつHBsAg(-)(以下NBNC):154例であった.発癌歴のある407例(37.4%)では同様に276例,39例,92例,②の内訳は479例,175例,190例で,③の内訳は76例,32例,54例,④の内訳は同様に58例,41例,22例であった.各モダリティと肝線維化ステージを比較・検討した結果,②VTTQでは,F0:72例F1:331例F2:148例F3:162例F4:168例の平均値は,各々1.11m/s,1.18m/s,1.46m/s,1.57m/s,2.49m/sであり,ROC曲線で検討するとカットオフ値(Vs)1.61m/sで F0-3とF4を有意に判別できることが示された(感度:0.82,特異度:0.87).③SWEでは,F0:21例,F1:53例,F2:25例,F3:28例,F4:45例の平均値は,各々1.40m/s,1.63m/s,1.81m/s,1.87m/s,2.70m/sであり,ROC曲線で検討するとカットオフ値(Vs値)1.90m/sでF0-3とF4を有意に判別でき(感度:0.98,特異度:0.80),VTTQとSWEでのVs値の相関係数は0.801と強い相関が認められた.④Fibroscanでは,F0:5例,F1:46例,F2:24例,F3:24例,F4:22例の平均値は,各々4.32kPa,6.23kPa,7.65kPa,11.19kPa,19.54kPaであり,ROC曲線で検討するとカットオフ値9.30kPaでF0-3とF4を有意に判別できることが示された(感度:0.91,特異度0.78).VTTQとFibroscanの相関係数0.804で強い相関を示すことが判明した(p<0.001)最後に,①1088例で発癌に相関する因子を単変量解析したところ,年齢・性別・ヒアルロン酸・Vs・Plt・PT-INR,γGTP・空腹血糖で有意差を認めた(p<0.001).ロジスティック回帰分析を行うと,年齢(Odds比2.76/10年)・性別(Odds比0.205)・ヒアルロン酸(Odds比1.22/100ng/ml)・Vs(Odds比2.237/1m/s)・Plt(Odds比0.929/10000/μl)・空腹血糖(Odds比1.195/10mg/dl)で発癌への寄与が示された.高齢男性で,Vsが高いことが特に発癌に関与していた.
【結論】
VTTQは線維化の程度をよく反映し,SWEやFibroscanとも強い相関を示すことが判った.また,慢性肝疾患症例では,高齢で肝臓が硬い症例で特に発癌が多いことが示された.