Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム3 <科学に活かす> 肝脂肪沈着の画像を科学する

(S268)

脂肪肝のB-mode診断 (CT所見との対比による診断基準の再評価)

B-mode diagnosis of fatty liver:re-evaluation of diagnostic criteria incomparison with CT findings

矢島 義昭

Yoshiaki YAJIMA

黒沢病院附属ヘルスパーククリニック内科

Department of Internal Medicine, Health Park Clinic Kurosawa

キーワード :

演者らは脂肪肝の超音波診断基準として“肝腎コントラスト”を1982年に報告した1).しかし超音波装置の性能の向上によって超音波ビームのpenetrationが改善した結果,かつての基準を再検討する必要が生じた.1981年にはCTNが肝の脂肪化の定量的な視標となることを報告した2).このCTNを用いて2010年には肝腎コントラスト,肝血管不鮮明化,深部減衰の各所見を比較して,脂肪肝のB-mode診断を再評価して報告した3).
【対象および方法】
当院の健診で胸部レントゲン撮影と腹部超音波検査を施行し,胸部レントゲン上の異常を指摘された結果,胸部単純CT撮影(上腹部を含む)を施行した312名である.用いた超音波装置は東芝のEXALIOで,CT装置はシーメンス社製の Somatom definition AS+ である.
【結果】
肝腎コントラスト(-)群,肝腎コントラスト(+)群,肝血管不鮮明化(++)群,深部減衰(+++)群のCTNはそれぞれ 59.6±4.5 H,52.6±7.0 H,36.4±11.6 H,26.2±11.0 Hであった(図).
【考察】
最初の論文中で報告した内容は,Josephらのbright liverでは腹壁の影響をうけてbrightnessが変化すること,肝硬変でもbright liver となるので脂肪肝との区別が困難であったが,肝腎コントラストでは両者を区別できること,脂肪化が高度になるにつれて肝腎コントラスト→肝血管不鮮明化→深部減衰と所見が変化すること,肝血管不鮮明化では小葉の30-50%の脂肪化を検出でき,深部減衰ではほぼ>50%の脂肪化を検出できること,であった.超音波所見をCTNと比較した今回の検討において,超音波ビームのpenetrationが改善された結果,肝血管不鮮明化,深部減衰の意味する脂肪化の程度がより高度なものへと変化していた.従って,脂肪肝の定義を肝小葉の>30%の脂肪化とするならば中等度の肝腎コントラスト陽性所見のみで拾い上げる必要がある.肝腎コントラスト+肝血管不鮮明化では肝小葉のほぼ50%の脂肪化を検出することになる.
1)矢島義昭,他:脂肪肝の超音波診断(肝腎コントラストの意義について.肝臓,23:903-908,1982
2)矢島義昭,他:脂肪肝のCT診断-肝総脂質値とCT number.肝臓 22:651-655, 1981
3)矢島義昭,他:Differential Tissue Harmonic Imaging超音波診断装置による脂肪肝の所見-CT所見との対比による診断基準の再評価-.超音波医学37:587-592,2010