Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション22 <科学に活かす> 右心機能評価には何がよいか

(S249)

右室収縮機能低下疾患における右心機能評価

Echocardiographic evaluation of primary right ventricular systolic dysfunction

石津 智子1, 渥美 安紀子2, 瀬尾 由広2

Tomoko ISHIZU1, Akiko ATSUMI2, Yoshihiro SEO2

1筑波大学臨床検査医学, 2筑波大学循環器内科

1Department of Clinical Laboratory Medicine, University of Tsukuba, 2Cardiovascular Division, University of Tsukuba

キーワード :

右室心筋自体の障害が問題となる疾患の代表として,不整脈源性右室心筋症ARVCと右室梗塞が挙げられる.ARVCは心臓突然死例の20%を占める10代から40代に発症する進行性の右室脂肪変性を来す疾患である.早期診断により不整脈に対する積極的介入を行うことにより,突然死を回避することが臨床的には重要である.1994年の初版診断基準が2010年に改定され,心エコー図による右室拡大と機能低下の数値基準が示された1.その基準とは右室局所あるいは全体の壁運動異常の主観的所見,右室流出路径および面積変化率FACである.一見してわかるような著明な右室拡大や機能不全の診断は容易であるが,早期症例では病変が局所に限局しているためこの基準値では診断感度が60%程度と低いことが問題である.Teske AJら2はARVC遺伝子異常を有する無症状の早期症例14例において径やFACは健常者群と同等であったものの,TAPSE, S’さらに流入路基部から中部側壁のストレインの最大値の低下,あるいは収縮後ストレインが高率に認められたと報告した.我々は3次元スペックルトラッキング心エコー図法を右室局所壁運動異常評価に応用しARVCと診断された8例において健常症例との比較を行った.ARVC症例では右室容積,右室EF,TAPSEの低下に加え,局所においてストレインの低下が認められた(図上).中でも健常者との測定値の重複が少なかったのは,longitudinal strainであり流入路,流出路,心尖部の順で健常者の1SDを超える異常値を示した症例が多かった.また,ストレインの時相解析では健常例でもピーク時相は不均一であったが,ピーク時像に達するまでの時間のばらつきが大きく(図下),そのSD値はARVC症例で大であった.今回の発表ではARVC/Dを中心に実例を提示しながら従来法や新しい心エコー解析画像を供覧し,現状の手法と特性と新しい評価法の可能性を明らかにしたい.