英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
パネルディスカッション21 <治療に活かす> 3D経食道エコーで見る弁膜症手術のためのポイント
(S246)
3D TEEを用いた大動脈弁狭窄症術前評価:2D TEEとの比較
Evaluation of aortic stenosis using 3D TEE: A comparison with 2D TEE
出雲 昌樹
Masaki IZUMO
聖マリアンナ医科大学循環器内科
Cardiology, St. Marianna University School of Medicine
キーワード :
高齢化社会となり,退行変性による大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)は増加の一途をたどり,手術件数も大動脈弁置換術は成人弁膜症手術の中では最多である.ASの重症度判定には心エコー図検査が用いられ,その指標は弁口面積,最高流速,平均圧較差が用いられている.しかしながら,これらの指標間で重症度に相違が生じる症例も1/3程度存在することが知られており,重症度評価に苦慮することも少なくない.2D心エコー図法による解剖学的弁口面積トレースでは,スループレーンや斜め切りにより最小の狭窄弁口を捉えられない可能性がある.3D心エコー図法は大動脈弁全体を描出でき,任意の断面でカットすることができることにより,これらの問題を解決し正確な評価をすることができると期待されている.さらに解剖学的弁口面積のみならず,大動脈弁輪部やValsalva洞,上行大動脈レベルまで,より正確な大動脈弁の情報を術前に評価し,外科医に伝えることが期待される.近年,開胸術ハイリスク症例患者における経カテーテル的大動脈弁植え込み術が開発され,重症度判定のみならず大動脈弁輪径や大動脈弁形態を評価する機会が増えると考えられる.経カテーテル的大動脈弁植え込み術等のStructural heart intervention治療は開胸することなく,根治が見込める治療であるが,実際の組織を見ることなくデバイスのサイズや留置位置決定等を行わなくてはならず,心エコー図法による術前評価はより一層正確性が求められ,その重要性はさらに増しているものと考えられる.本ディスカッションでは,大動脈弁狭窄症重症度評価及び大動脈弁形態観察に3D TEEをどのように応用し,また2Dと比較してどのようなメリットがあるのか,実例を提示しながら議論していきたい.