石津 智子

Tomoko ISHIZU

筑波大学臨床検査医学

Clinical Laboratory Medicine, University of Tsukuba

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3次元心エコー図法が最も臨床的に活躍しているのは僧帽弁評価においてである．3次元経食道心エコー図装置を用いることで，術者に特別な技術がなくとも僧帽弁の3次元画像を得られる．左房から僧帽弁を見下ろす視点での立体画像は外科医に対する術前情報として有用である．感染性心内膜炎では疣贅，弁瘤などの構造が，僧帽弁逸脱症では左房側へ盛り上がる逸脱弁尖，断裂腱索に加え，逆流弁口の形態まで可視化することができる．主観的な画像評価に加え，近年開発された3次元解析ツールを用いれば僧帽弁複合体の立体構造をコンピュータ上に再構築し，一心周期でどのように変形するかまで，わずか5分足らずで解析ができるようになった．ひとたび3次元模型に再構築すれば僧帽弁形態を定量評価することも容易である．飛躍的に増加した情報量をどのように臨床に生かすかが問われている．一方，全体をとらえることは3次元エコーの利点だが，菲薄化した領域や素早く動く対象など微細な部分の観察は2次元エコーには遠く及ぶべくもない．今回の発表では三次元経食道心エコー図法の利点と，診断の際注意すべき問題点について臨床例を提示しながら解説する予定である．