Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 循環器
パネルディスカッション15 <教育に活かす> 心エコーにおける生涯教育の現状と展望

(S241)

研修医に対する心エコー教育:北海道心血管エコー研究会の取り組み

Echocardiography education program for doctors-in-training: the efforts of Hokkaido Study Group for Cardiovascular Ultrasonography

山田 聡

Satoshi YAMADA

北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学

Department of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
北海道心血管エコー研究会 Hokkaido Study Group for Cardiovascular Ultrasonographyは,北海道内全域で心血管エコーに携わる医師と技師が一堂に会するオール北海道の研究会として5年前に発足し,年に2〜3回開催する学術研究会をメインに活動を行っている.私たちが発足当初から懸念していた問題に「循環器医師の心エコー離れ」がある.昨今は,多忙な医師が心エコー検査に関わる時間的余裕がなく,ほとんどの病院でもっぱら技師がルーチン検査を施行している.そればかりでなく,医師が心エコー画像を直接目の当たりにして所見の意味を考える機会が減り,病態生理を理解する力が低下することが懸念された.
【教育活動】
そこで,本研究会では,2009年より「研修医向け心エコーハンズオンセミナー」を開始し,年2回のペースで8回のセミナーを開催してきた.初期研修医を中心に,参加費自己負担で毎回18〜24名の参加者が集まっている.土曜日の午後を利用した計4時間のプログラムでは,まず,短時間の講演で心エコー検査の基本を解説する.次に,1グループ5名程度の少人数制で個々の参加者に十分な時間を確保して,一対一でのハンズオン指導を行っている.広い北海道に分散する研修医の利便性を考慮して,年2回のうちの1回は札幌以外の都市で開催することとし,札幌→旭川→札幌→函館→札幌→帯広のローテーションが確立した(図).
【考察】
セミナー開始当初は,初期研修医にとってやや専門的な当セミナーが冷ややかに無視されるのではないかと危惧もした.しかし,研修医の評判は上々であり,当セミナーを受講したうえで循環器領域に針路を定める諸君も出始めている.専門領域を決定していない時期に,ダイナミックな心臓の動きと心エコー法の魅力に触れさせることが第一に重要であろう.また,比較的小規模な研修病院では実現しにくい密度と質の高い教育を,地域密着型で提供することに意義があると考えられる.さらに,当セミナーでは,講演でもハンズオンでも検査技師が医師の教育に貢献している(図で研修医を指導しているのはいずれも技師である).高いレベルのチーム医療を目指すためには,早期から多職種間の信頼関係を構築していくこともきわめて重要であると考える.