英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
パネルディスカッション2 <科学に活かす> スペックルトラッキングエコー法の標準化を考える
(S228)
本邦における2Dストレインの正常値:多施設共同研究の結果から (JUSTICE)
Japanese Ultrasound Speckle Tracking of the Left Ventricle (JUSTICE) Study
竹内 正明
Masaaki TAKEUCHI
産業医科大学第二内科
Second Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, School of Medicine
キーワード :
【背景】
2Dスペックルトラッキング法による左室ストレイン値の測定は新たな定量的左室機能評価の方法として多くの期待がよせられ,本方法を用いて全世界で多数の論文が出版されている.しかし大多数例での正常値がどの程度であるのか,各超音波機種間での値の相違に関しては未だ明らかではない.
【目的】
日本人健常例における2Dストレインの正常値を算出し,各超音波機種間で値に違いがあるかを前向き多施設共同研究で検討すること.
【方法】
対象は本邦の14施設から集められた健常例817人,1000検査.心エコーは左室短軸3,長軸3断層像を記.記録に用いた超音波装置(V1, V2, V3)専用のストレイン解析ソフトを用いて,重心方向,円周方向,長軸方向のストレイン値を計測,局所及び左室全体のストレイン値を算出した.
【結果】
計測の妥当性は各超音波メーカーとも画質に依存したが,画質不良例ではその妥当性が大きく異なり,全体として3社間で有意差を認めた.左室全体のストレイン値,局所のストレイン値は各社で有意に異なる値を呈した.一方同一症例に異なる2超音波機器を用いて心エコーを記録,それぞれの解析ソフトで計測したストレイン値も両社間で有意に異なり,級内相関は軽度から中等度であった.
【結論】
日本人での2Dストレイン正常値を3超音波メーカー機器,解析ソフトを用いて決定し得た.正常値は各メーカーで異なり,同一症例における検討でもその級内相関は低値であることより,本方法を用いて経時的な変化を観察する場合は同一メーカーの超音波機器,解析ソフトをもちいて検討することが最低限必要である.