Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 基礎
シンポジウム13 <治療に活かす> 超音波による骨評価:臨床と基礎から

(S207)

日本における超音波による骨量測定装置の設置状況

Distribution of bone densitometry equipment by quantitative ultrasound in Japan

山内 広世, 西川 憲, 佐々木 利幸, 末廣 耕一, 門田 雅之, 折茂 肇

Hirose YAMAUCHI, Akira NISHIKAWA, Toshiyuki SASAKI, Kouichi SUEHIRO, Masayuki KADOTA, Hajime ORIMO

公益財団法人骨粗鬆症財団

Japan Osteoporosis Foundation

キーワード :

骨粗鬆症財団は日本の人口の高齢化に伴い急増する骨粗鬆症についての普及啓発,調査研究・助成,内外の情報収集等の事業を行うことを目的に1991年に設立された.骨粗鬆症の診断,治療には骨量検査は必須であり,国内における骨量測定装置の設置数を把握することは財団の重要な業務の一つである.1996年から国内で骨量測定装置を販売している企業の協力を得て,どのような骨量測定装置がどのような施設に設置されているかを調査している.1996年の調査開始時には全国の6,483施設に骨量測定装置が設置され,DXA(dual energy X-ray absorptiometry)による装置は4,297施設,超音波(QUS, Quantitative ultrasound)法による装置は781施設に設置されていた.2011年の調査では18,422施設に骨量測定装置が設置され,そのうちDXA装置は11,030施設に,QUS装置は7,893施設に設置されていた.この15年間にDXA装置設置施設数は2.6倍の伸びであるが,QUS装置設置施設数は10倍にも増加していた.DXA装置では腰椎・大腿骨または橈骨の,QUS装置ではその殆どが踵骨の骨量を測定している.2011年の都道府県の人口当たりの骨量測定装置全体の設置比率は高知県,香川県,徳島県に高く,埼玉県,千葉県,茨城県では低かった.一方,踵骨の測定装置設置比率は和歌山県,長崎県,兵庫県で高く,千葉県,滋賀県,福島県に低かった.施設の規模や設置目的などにより骨量測定装置に違いがあり,大学附属病院では腰椎・大腿骨,その他の医療機関では橈骨,検診系施設等では踵骨を測定する装置の設置率が高かった.QUS装置は放射線による被曝もないため,骨粗鬆症検診では踵骨を用いた骨量測定が広く行われている.骨粗鬆症検診では骨量の若年成人平均値(20〜44歳,young adult mean: YAM値)の80%未満を要精検として医療機関に紹介している.しかし,骨粗鬆症の診断基準に用いられる骨密度の値はYAM値の70%未満であり,腰胸椎のエックス線撮影,血液・尿検査も行った上で骨粗鬆症と診断される.骨粗鬆症検診において低骨量者を骨粗鬆症として医療機関へ紹介している例があり,医療機関,検診施設,検診受診者の間で問題を起こしている.骨粗鬆症検診で要精検者とする基準と骨粗鬆症の診断基準とは異なることだけでなく,骨粗鬆症全般に関しても更なる啓発が必要である.