Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム20 <治療に活かす> 超音波ガイド下穿刺手技を用いた検査・治療の現状と問題点

(S172)

超音波ガイド下末梢動脈インターベンション

Ultrasound-guided endovascular therapy for peripheral artery disease

西野 雅巳, 田内 潤

Masami NISHINO, Jun TANOUCHI

大阪労災病院循環器内科

Division of Cardiology, Osaka Rosai Hospital

キーワード :

我が国においても食事の欧米化などの影響により脂質異常症,糖尿病が増加傾向にあり動脈硬化疾患が増加の一途をたどっている.虚血性心疾患,脳血管疾患の増加はもちろんのこと末梢動脈疾患(PAD)も生命予後にかかわる重要な疾患として治療対象として問題となってきている.近年のインターベンション技術やデバイスの進歩によりPADもかなり複雑病変においても成功率が上昇してきた.またそれとともに以前はインターベンションでは治療不可能であった病変にもチャレンジするケースが増えてきている.PADの診断においては以前より超音波法は重要視されており非侵襲的で経過を追うため繰り返し検査ができ臨床上有用であったが近年,治療時にも非常に有用なツールとなってきている.特に体表エコーは血管内超音波のように侵襲的な手技を用いることなく容易に施行でき末梢動脈インターベンションの領域では非常に有用である.当院では特にポータブルエコーを用いて道具,機械類の多いカテ室でも場所をとらずに施行できるエコーガイドを施行し一定の成果を上げてきた.ポータブルエコーを清潔操作で行うことでマンパワーなども削減でき有意義である.特に穿刺時のガイドにおいては造影剤や放射線を用いることなくまったく非侵襲的に施行できるので有用でまた動脈・静脈を鑑別することができるので動静脈瘻などの合併症を予防する上でも有意義である.さらに血管内にワイヤーを進めるときにリアルタイムにガイドすることができ慢性閉塞病変(CTO)などでインターベンションを施行するときにはワイヤー先端が血管内のどの位置にあるかどこを向いているかが把握でき手技を進める上で非常に有用なガイドとなる.ただし超音波だけに頼るのも問題で適宜透視(放射線)を用いてガイドを行い,放射線と超音波のハイブリッドガイドが最も手技を簡素にかつ安全に施行できるKEYであると考えている.また膝下(BK)のCTO病変において前脛骨動脈や後脛骨動脈など2mm程度のかつ動脈硬化の進んだ細い動脈を穿刺する場合,超音波は有用であるが今のポータブルエコーではやはり解像度に限界がありhigh-end machineを用いて穿刺したほうが確率高く手技が成功する.当院では病変に応じてポータプルエコーとhigh-end machineを使い分けてエコーガイドを施行している.当院での大腿膝下動脈領域のCTO病変でエコーガイドを駆使して施行したインターベンション治療の成績は連続19人で成功率95%,3年の一次開存率63%,二次開存率89%と好成績であり,有用な手技であると考えている.今後も高性能超音波装置の小型化(ポータブル化)がより進歩することが期待できこの領域でのインターベンションに超音波が貢献する頻度が増加することが予想される.いずれはカテ室と一体化した超音波装置も開発が望まれるところである.下肢動脈インターベンション領域では造影剤使用,被爆を避けることができる非侵襲的な超音波ガイドインターベンションが非常に有用であり今後も発展していく領域であると考えられる.