Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム16 <診療に活かす> 健診・検診編:指導者が教えるここだけは見てほしいポイント

(S164)

肝腫瘤:血管腫と血管腫以外の鑑別

The ultrasonic diagnosis of liver hemangioma

小川 眞広

Masahiro OGAWA

駿河台日本大学病院内科

Internal medicine, Surugadai Nihon University Hospital

キーワード :

【はじめに】
肝腫瘤性病変の超音波診断においてはとかく肝細胞癌を中心とした悪性腫瘍の診断に重きを置く傾向があるが良性疾患の診断においても確実に診断を行うことにより以後の高次元の診断を受けずに済むために患者の負担のみでは無く,医療経済的にも重要な事と考えられている.肝血管腫は,ほとんどが海綿状血管腫(cavernous hemangioma)で,成熟した小血管の増殖による腫瘍で,静脈奇形の一型とする分類もある疾患である.多くは先天性で,加齢とともに多少の増大傾向を示す.ここでは肝血管腫の鑑別診断のポイントを述べるがこの組織的な特徴をどのように捉えるかが最大の焦点となる.
【B-mode所見】
本学会の肝腫瘤の超音波診断基準を引用すると,腫瘍形状は,円形,類円形で,腫瘍境界・輪郭が明瞭で不整(細かい凹凸)としている.腫瘍が10mm前後の小さな腫瘍では円形(球形)で腫瘍の増大に伴い類円形となる.特にここで重要な事は肝癌と異なり膨張性に発育するわけでは無いので比較的大きな腫瘍となると正円型では無いことが多いということである.腫瘍辺縁は,腫瘍内部と肝実質の正常の差から血管腫に特徴的な所見が観察され,辺縁に高エコー帯を認めることもありmarginal strong echoと呼ばれる.また腫瘍内部は,高エコー型,辺縁高エコー型,混在型,低エコー型に分類されているが腫瘍が小さい場合には内部の海面状の内腔が小さく多重反射により高エコーとなり,腫瘍型の増大や内部の血栓などの変性などにより多様な像を呈するようになる.検診などにおいてはあまりドプラ検査なども施行できる機会が少なくやはりB-modeのみで診断することも多いがこの際確定診断に近い所見となるのが付加所見となる.chameleon sign(体位変換によって内部エコーパターンが変化する徴候),wax and wane sign(経時的に肝血管腫の内部エコーが月の満ち欠けに似た変化を示す所見),disappearing sign(探触子の圧迫によってエコー像が変化し,ほとんど消失したようにみえる特徴をいう)などがある.
【ドプラ所見】
ドプラ所見は,肝細胞癌と比較し血流が遅いことが特徴であるため除外診断が中心となってしまい確定診断には次に述べる造影超音波検査となることが多い.ドプラ検査での血流の多寡は少なく,血管の走行は腫瘍辺縁部に点状となり,血流性状は定常性で時に拍動性となる.A-P shuntを認めることもあるためこの場合には血流が豊富な場合があるため悪性疾患との鑑別が重要となる.
【造影超音波検査】
造影超音波検査では,ドプラ検査で描出されない遅い血流も評価可能となることより診断精度は高くなる.診断のポイントとしては造影の経時的な変化を捉える事が最も重要となる.血管相では,動脈優位相で辺縁から中央に向かって濃染され始め,辺縁が点状もしくは斑状に濃染される.門脈優位相になり辺縁が斑状に濃染部分が増大し中央へ濃染が進み中心部は造影されないことも多い.後血管相では,造影剤の貯留時間の長い特徴があるため肝実質と同等となるが,一部では血栓,線維化などにより造影されない場合や早期に排泄される症例もある.
【まとめ】
診断のポイントは腫瘍内部の血液の貯留状態を適格に診断し他の疾患と鑑別することと考えている.実際の症例の超音波画像を呈示しその所見を供覧できればと考えている.