Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
シンポジウム11 <診療に活かす> ER編:指導医が教えるここだけは見てほしいポイント

(S161)

泌尿器科領域

Urologic Emergecy

沖原 宏治

Koji OKIHARA

京都府立医科大学泌尿器科

Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

泌尿器科ER疾患をレジデントに教育する第一歩は,患者がどのような表現で自分の主訴を伝えるかを,咀嚼することから始まる.まず,「急に腰が痛くなった,どんな格好をしても痛みが治らない」といえば,尿管結石の疝痛発作が診断にあがってくる.血尿・叩打痛の有無を確認したうえで,次のステップとしてKUBやCTではなく,腹部超音波を行うことを指導する.水腎症を認め,上部尿管・膀胱尿管移行部にacoustic shadowを認めれば,尿管結石の診断が即時に可能であり,鎮痛処置までの時間が短縮できかつ,レントゲン検査が不要となることの指導を行う.骨盤まで下降した結石を疑う場合であれば,次の画像検査に移行していく.ここでかならず,対側の腎臓が超音波上異常がないかの確認が必須である.「尿がでません」という訴えも数多く経験する.「尿がでない」の意味は2つあり,尿がしたくてもでないと,尿の量が極めて減少しているのどちらかである.「尿がしたくてもでない」,の場合はまずは下腹部の視触診から始める.膨満し,下腹をおさえることで尿意が亢進すれば,採血の前に腹部超音波検査の施行である.楕円体法でおおよその膀胱内の尿量を計測し(男性であれば前立腺肥大の確認),尿閉と確定すれば導尿にて患者の苦しみは劇的に改善する.ここでのポイントは急性か慢性尿閉の診断にて腎超音波は必ず行う.もし,水腎症が認められた時点で腎機能採血を検討する.「尿の量が極めて減少している」の場合もまずは,腎超音波検査である,泌尿器科医の役割は腎の形態評価と腎後性腎不全の除外診断を行うことである.腎前性,腎性の可能性が高い場合は内科医と協議を行う.「血尿がでました」の場合はどうか?検尿にて尿路感染症の評価後,この主訴の場合もまずは,腎・膀胱超音波検査である.可能であれば,腎はドプラ検査も併用し血管奇形の検索も行う.貧血の程度を評価する第一項目は膀胱内の凝血塊の有無,程度の確認である.止血処置が必要な場合は外傷を除けば,血管奇形と腫瘍性疾患のサーベイを可能な限り,超音波で行う.確定診断でCTを行うにしても,出血の局在診断を超音波で行えば,付加的情報となる.泌尿器科領域で緊急手術の適応をまず検討しなければならないのが,思春期男性の「陰嚢(こうがん)が急に痛くなった」である.この訴えは1)精巣捻転,2)精巣垂捻転,3)精巣捻転解除(De-torsion),4)精巣上体炎をまず念頭におく.高周波数の探触子を用いた,Bモード,ドプラ検査が手術適応の可否に不可欠である.精巣内部のhomogenousか,精巣上体の血流の左右差はどうかが主な判定基準となる.本セッションでは,患者の訴えに応じた,超音波検査位置付けをもう一度整理し,レジデントがベッドサイドでみるべき超音波所見のポイントを呈示したいと思う.