Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

特別プログラム
第38回日本超音波検査学会学術集会ジョイントプログラム これからの超音波検査士のあり方を考える

(S152)

超音波検査士のこれまで

It is process to this of the JSUM Registered Medical Sonographer

佐藤 洋1, 石井 克尚2, 中村 武史3

Hiroshi SATO1, Katsuhisa ISHII2, Takeshi NAKAMURA3

1関西電力病院臨床検査部, 2関西電力病院循環器内科, 3関西電力病院消化器内科

1Clinical Central Laboratory, Kansai Electric Power Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Kansai Electric Power Hospital, 3Department of Gastroenterology and Hepatology, Kansai Electric Power Hospital

キーワード :

【はじめに】
「超音波検査士」は,日本超音波医学会が超音波検査の優れた技能を有するコメディカルスタッフを専門の検査士として認定する資格として1984年に制度をスタートさせた.「超音波検査士」に要求されているのは,超音波検査の実務能力,その所見を報告書として作成しうるに十分な知識・技能であり,膨大な検査件数をこなすための単なる労働要員と期待されているわけではない.認定試験は1985年に第1回の超音波検査士試験が開催された.領域は5領域(体表臓器,循環器,消化器,泌尿器,産婦人科)であったが,現在では健診(2005年〜),血管(2007年〜)も加わり合計7領域で試験が実施されている.
【受験資格】
1)日本国の看護師,准看護師,臨床検査技師,診療放射線技師のいずれかの免許を有する.2)3年以上継続して,日本超音波医学会の本学会の正会員か準会員,または日本超音波検査学会会員である.3)本学会認定超音波専門医の推薦が得られる.の3点を満たしている必要がある.1年に1領域しか受験できないこと.合格した翌年は他の領域を受験しようとすると基礎領域の筆記試験が免除(1回のみ)される.
【試験内容】
基礎+臨床の2種類の筆記試験がある.第6回試験(1991年)までは,筆記試験とともに面接試験も実施されていた.しかし第7回(1992年)以降は受験者の増加にともに,面接試験は廃止され,代わりに臨床実績の提出を義務づけることになった.
【資格更新のあり方】
現在では超音波33の超音波関連の学会・研究会の参加が資格更新の対象となっている.その数は年々増加し,平成18年以降だけでも13増加した.これは,日本超音波医学会会員でなく,さらに日本超音波医学会学術集会に1度も参加せずとも5年毎の資格更新ができてしまう現実がある.更新点数だけでなく,5年に1度は日本超音波医学会学術集会の出席義務化は必要ではないか.現在のところ,資格を取得して更新要件を満たしていれば,技術,知識について再評価されることがない.また多領域の超音波検査士資格を有している場合でも包括して更新できる状況であることも問題である.
【試験制度のあり方】
日本超音波医学会の認定制度であるため認定試験委員は全て日本超音波医学会会員で構成されている.今まで日本超音波検査学会の会員で試験委員を務めた者は数名しかいない.日本超音波医学会会員から継続的に試験委員を選出される仕組みは構築できないだろうか.
【超音波医学会と超音波検査学会】
両学会のジョイントセッション企画は,過去には2度(2006年,2009年)しか実績がない.今後継続的に開催されることは両学会にとって必要であろう.両学会の合同開催は2004年だけである.合同開催するメリットは大きく他の超音波関連の学術集会も同時期に開催できれば,一度の参加で多くの情報を得ることができるのではないか.
【増える認定資格試験】
より専門性を目指した超音波検査関連の資格〔日本心エコー図学会認定専門技師(2006年〜),血管診療技師(血管診療技師認定機構 2006年〜),脳神経超音波検査士(日本脳神経超音波学会,2008年〜)〕が増えてきた.また日本超音波医学会においても認定指導検査士(腹部領域)制度を2012年からスタートさせた.検査の施行だけでなく,後進の技師に超音波の教育や指導ができることもその要件としている.さらに日本乳腺甲状腺超音波医学会のように積極的に講習会を開催し検査担当者のレベルアップと維持に努めている団体もある.
【まとめ】
医師以外の職種で超音波検査を行う者の一つの目標として超音波検査士制度がはたしてきた役割は大きい.今後は検査の質向上,検査の質の維持が課題となるであろう.