Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:その他

(S567)

経会陰超音波(Transperineal Ultrasound:TU)による分娩第Ⅱ期評価の試み

Evaluation of the second stage of lober with transperineal ultrasound

手島 映子, 木戸 浩一郎, 櫻井 理奈, 鎌田 英男, 市田 宏司, 松本 泰弘, 司馬 正浩, 笹森 幸文, 梁 栄治, 綾部 琢哉

Eiko TESHIMA, Koichiro KIDO, Rina SAKURAI, Hideo KAMATA, Hiroshi ICHIDA, Yasuhiro MATSUMOTO, Masahiro SHIBA, Yukifumi SASAMORI, Eiji RYO, Takuya AYABE

帝京大学医学部附属病院産婦人科

Department Of Obstetrics and Gynecology, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
TUとは,分娩進行時に陰唇の間からプローベをあてて児頭の下降度や第3回旋を観察する方法である.分娩進行時,特に鉗子・吸引分娩では,正確な内診所見が求められるが,産瘤が生じると児頭下降度の評価は必ずしも容易ではない.産婦に対してTUを施行し児頭下降の評価を試みたので報告する.
【対象と方法】
2010年8月〜2011年11月までの間に当院で分娩した産婦のうち,同意の得られた9例に対しVoluson E8(GE社製)によるTUを行った.まず,陰唇にプローベをあてて恥骨全体と児頭を描出しstatic3Dでボリュームデータを収集した.次に恥骨下縁から母体背面に向けて恥骨に対して垂直な線を引き,これを基準線とした.画面上の児頭最大径線に対して垂直な線と基準線との角度をHead Direction:HD(°),児頭の先端が基準線からどれだけ先進しているかをProgression Distance:PD(mm),恥骨下縁から児頭に引いた接線と恥骨に水平な線との角度をProgression Angle:PA(°)として計測した.また恥骨に平行な線と児頭の下降方向との角度を比較し,30°以上恥骨側に向かうものをhead up,0°〜30°をhorizontal,0°以下のものをhead downと定義した.それぞれの所見を内診所見とあわせて検討した.
【結果】
9例中8例が自然経腟分娩,1例が微弱陣痛による第Ⅱ期遷延を適応とした鉗子分娩であった.内診所見による児頭下降度はSP±0 p〜+4 pで,PAは123〜166°,HDは98〜150°であり,いずれも児頭の下降に伴い計測値が増加する傾向がみられた.9例すべてで児頭の下降方向はhorizontalまたはhead upであった.鉗子分娩となった1例はPD 53mm,PA 158°,HD 150°,児頭の下降方向はHead upで児頭下降度はSP+4cm以上と推測され,内診所見も鑑みて鉗子適位と判断した
【結論】
PAとHDは内診による児頭下降度と相関すると思われ,分娩進行の評価に利用できるとともに,安全な鉗子・吸引分娩施行のための一助となりうると思われた.また,分娩進行中に経時的にTUを施行し児頭下降度を評価することで,産婦や分娩担当者への分娩進行状況の説明が客観的になり得ると考えられた.