Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
産婦人科:母体

(S563)

妊娠中期に胎盤肥厚を超音波で指摘された症例の予後について

Abnormal thickness of the placenta detected by ultrasound in second trimester

谷口 友基子, 金川 武司, 味村 和哉, 金山 智子, 藤田 聡子, 冨松 拓治, 木村 正

Yukiko TANIGUCHI, Takeshi KANAGAWA, Kazuya MIMURA, Tomoko KANAYAMA, Satoko FUJITA, Takuji TOMIMATSU, Tadashi KIMURA

大阪大学産科婦人科

Obstetrics and Gynecology, Osaka University

キーワード :

【はじめに】
超音波による正常の胎盤の厚さについては妊娠週数によって増加していくものであるが,平均2cm程度であり,どの週数であろうと4cm以上は異常であると報告されている.また,20-22週では90パーセンタイルが35mmであるという報告もある.胎盤肥厚が周産期予後にかかわることは広く知られているところである.今回,われわれは,当院で胎盤肥厚を指摘された症例について,その周産期予後を検討した.
【対象】
2009〜2011年の間に,超音波にて胎盤肥厚(>35mm)を疑れた20症例を対象とした.
【方法】
上記症例を対象とし,初めて確認された妊娠週数,超音波による胎盤・胎児所見,母体および胎児の転帰,胎盤病理について,レトロスペクティブに検討した.
【結果】
対象症例の母体年齢は32.1±4.1歳.胎盤肥厚を20例に認めた.初めて確認されたのは平均21週(14-27週)であった.胎盤肥厚と同時に1例は胎盤胎児面が蜂巣状に見られ,1例は羊膜下に多数のlakeを認め,1例はheterogenousな胎盤であった.2例は無羊水症であった.胎児染色体については調べえた7例に異常は認められなかった.母体のついては,妊娠中の高血圧を11.8%(2/17)に合併した.人工妊娠中絶になったのが3例,死産が1例,帝王切開率は50%(6/12)であった.また出血量は平均560gであった.胎児に関して胎児発育不全は70%(14/20)に認められた.また,40%(6/15)が早産であった.Potter syndromeを1例に認め,単一臍帯動脈が1例存在した.1例はパルボウイルス感染症から胎児貧血を認め,臍帯輸血を行っている.90%(18/20)に,何らかの母体・胎児合併症が認められた.胎盤病理検査に提出した6症例の結果はmesenchymal hamartoma,副胎盤,CAOS,Breus’ mole,CAMであった.
【考察】
胎盤肥厚は,胎児発育不全や早産が高率に認められ,妊娠の予後に対して大きな影響力をもつと考えられた.胎盤肥厚を認める場合,胎児の発育や早産に注意して,管理する必要があると思われた.