Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:症例3

(S531)

心房細動認め心エコーで右房下部に短絡を認めた冠静脈洞開口近傍のunroofed ASDの一例

A case of unroofed coronary sinus ASD: partial defect to left atrium

谷川 崇1, 太田 剛弘2, 金子 みどり1, 則岡 直樹2, 田中 世良2, 河合 慶介2, 西山 裕善2, 紙森 公雄2, 柳 志郎2, 柴田 利彦3

Takashi TANIGAWA1, Takahiro OTA2, Midori KANEKO1, Naoki NORIOKA2, Sera TANAKA2, Keisuke KAWAI2, Hiroyoshi NISIYAMA2, Kimio KAMIMORI2, Shiro YANAGI2, Toshihiko SHIBATA3

1府中病院生理機能検査室, 2府中病院循環器科, 3大阪市立総合医療センター心臓血管外科

1Clinical Physiological Laboratory, Fuchu Hospital, 2Division of Cardiology, Fuchu Hospital, 3Department of cardiovascular surgery, Osaka City General Hospital

キーワード :

【症例】
62歳 男性
【主訴】
心拡大,心房細動
【現病歴】
生来健康で体力的職業に従事していた.2008年健診にて心拡大,心房細動を指摘された.以前の健診で指摘されたことはない.当初心エコーでは右心負荷あるものの明らかな基礎疾患指摘されず,電気的除細動予定されたが,心エコー再検で心房レベルの短絡疑われ経食道エコー施行された.下大静脈近傍に短絡疑われたが病型診断に十分な描出が得にくかった.石化工関連の仕事で珪肺症が認められたため,呼吸器治療を優先させたが,動悸,労作時息切れ等出現し,手術目的のため入院となった.
【家族歴】
兄が珪肺症 
【嗜好】
喫煙 毎日80本
【入院時現症】
貧血なし.肺野 呼吸音 清.心音 Ⅱの固定性分裂不明瞭. Ⅱpの亢進認めず.腹部 異常所見なし. 四肢浮腫 なし.
【生化学データ】
特記所見なし
【心電図】
心房細動,ICRBBB
【入院後経過】
入院第2日心臓カテーテル検査施行.冠動脈 正常.右房内での酸素飽和度のstep upははっきりしなかった.入院時経食道エコーでは静脈洞型を疑ったが上大静脈部位に短絡なし.下大静脈近傍に18×15mmの欠損孔を認め,PFOも認めた.肺静脈還流異常などは指摘できなかった.カテーテル検査の計算で肺体血流比=1.57と心エコーでの計算値1.9と乖離を認めた.肺動脈圧=20mmHg台で労作時息切れと乖離していた為,肺疾患の治療を優先とした.
【臨床経過】
呼吸器科での治療後も息切れ症状出現するため2011年11月に心房中隔閉鎖術のため心臓血管外科に転院.ASD欠損孔は冠静脈洞(CS)近傍に開口しておりCSは一部左房にも開校しており,unroofed ASD型と考えられた.CSが右房に開口するようdirect closureを施行.PFO閉鎖しMaze手術を行い終了した.
【まとめ】
ASDには4型Ⅱ分類されるが,静脈洞型,unroofed typeは経胸壁心エコーで描出が難しいとされる.今回心房細動,ICRBB,右心系の容量負荷を認めたことから当初,検出されなかった心房レベルでの短絡を心エコーを繰り返し,3D-TEEも施行し短絡を指摘し,手術施行にて良好な経過を得ている.本例は部分的に左房にも開口する稀なunroofed type症例と考えられた.