Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

ポスター
循環器:症例3

(S530)

無症状で発見された合併奇形のない修正大血管転位症の2成人例

Two adult cases of asymptomatic corrected transposition of the great arteries without associated cardiac anomalies

篠田 義直1, 青木 敏夫2, 岩瀬 正嗣3

Yoshinao SHINODA1, Toshio AOKI2, Masatsugu IWASE3

1青藍会 青木内科診療放射線科, 2青藍会 青木内科循環器内科, 3藤田保健衛生大学付属病院循環器内科

1roentgenology, seirankai Aokinaika Clinic, 2cardiology, seirankai Aokinaika Clinic, 3cardiology, Fujita Health University Hospital

キーワード :

【はじめに】
修正大血管転位は大動脈が解剖学的右室に,肺動脈が解剖学的左室につながることに加え左房が解剖学的右室に,右房が解剖学的左室につながることにより血行動態的には修正されて正常となった先天性の心奇形である.本症は先天性心疾患の中でも1%程度と報告されておりVSDなどの合併奇形や心不全を機に発見されることがあるが,血行動態的には修正されているので合併奇形がなければ中年までは無症状の為見過ごされている例もあると考えられる.今回無症状で発見された合併奇形のない修正大血管転位症例を経験したので報告する
【症例1】
40代女性で基礎疾患なく,ママさんバレーを継続中.健診の心電図異常の精査目的で心エコー施行.胸骨左縁長軸像で前方の大血管と左側心室側房室弁の間に繊維性連続はなく,cristaがみられ,右側心室側では大血管と房室弁では線維性連続がみられた.心尖部四腔像では左側心室の房室弁の方が右側心室の房室弁よりも心尖部よりに付着しており,3Dエコーで左側心室の房室弁が3尖弁であることを確認した.左側心室の房室弁逆流はⅡ°程度と比較的軽度で両心房の拡大もなく,VSDなどの合併奇形はみられなかった.MRIで左側心室に肉柱が多く,右側心室内膜側が平滑であることと,大動脈が肺動脈の左前方から起始し,交差のないことから診断を確定した.
【症例2】
40代女性でうつ病の治療中だが,ダンスを継続中で最近では入賞あり.30歳の時に心電図異常の精査で修正大血管転位症を診断され,その時点で左側心室の房室弁逆流Ⅱ°指摘.その後,受診中断されたが,うつ病の治療中に失神発作を繰り返す為に循環器内科を受診,診断を再確認され経過観察中.心エコーでは左側心室はやや大きく,動きもやや低下傾向だが,左側房室弁逆流は中程度で20年前に比べて明らかな悪化はなく,現時点では手術適応なしと判断.失神に関してはホルター心電図正常,運動負荷エコーでも運動能力良好で壁運動の増大も認められ,修正大血管転位症との因果関係は不明確だが,アーチスト服用後は以前より失神しなくなったとの自覚あり.
【考案】
2例とも心電図異常の2次検査で偶然発見され,合併奇形はなく現在まで活発な運動を継続中であり,心不全症状もなく経過観察中.本症は先天性疾患の中でも1%程度といわれているが,合併奇形がなければ血行動態的に保たれるので今回のように無症状で偶然発見されるケースもあると推測される.