寺本 美穂¹, 岡田 昌子², 福嶋 友孝¹, 北田 弘美¹, 小川 恭子¹, 内藤 雅文³, 長谷川 新治², 藤井 弘通⁴, 笹子 佳門⁴

Miho TERAMOTO¹, Masako OKADA², Tomotaka FUKUSIMA¹, Hiromi KITADA¹, Kyouko OGAWA¹, Masafumi NAITOU³, Shinnji HASEGAWA², Hiromichi FUJII⁴, Yosikado SASAKO⁴

¹大阪厚生年金病院中央検査室, ²大阪厚生年金病院循環器内科, ³大阪厚生年金病院臨床検査科, ⁴大阪厚生年金病院心臓血管外科

¹Central clinical laboratory, Osaka KoseiNenkin Hospital, ²Cardiovascular Medicine, Osaka KoseiNenkin Hospital, ³Clinical laboratory department, Osaka KoseiNenkin Hospital, ⁴Cardiovascular Surgery, Osaka KoseiNenkin Hospital

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症例は83歳,男性．11年前に大動脈弁生体弁置換術施行後,定期的な外来通院を続けていた．入院2週間前から労作時息切れを自覚するようになり,2010年5月夜間呼吸困難が出現,救急搬送された．血圧上昇による心不全と診断され,薬物治療により一旦軽快したが,第6病日に心不全が再度増悪した．第10病日に経胸壁心臓超音波検査にて重症大動脈弁閉鎖不全を認めた．比較的急性発症の心不全で弁座も動揺しているように見えたため,第11病日に緊急で経食道心臓超音波検査を施行．疣腫や膿瘍を疑わせる所見はなく,弁座の損傷もなかったが,右冠尖と無冠尖の交連部からの高度大動脈弁逆流を認めた．第12病日に緊急大動脈弁置換術が施行され,術中所見では,無冠尖と右冠尖の弁尖のステントが外れており,純粋な経年劣化による人工弁機能不全と診断された．経食道心臓超音波検査による大動脈弁位の人工弁の機能評価は難しいが,3次元画像などを駆使して術前に経年劣化による病変を詳細に観察しえた症例を報告する．