藤原 浩和¹, 藤原 佳子¹, 坂森 和美¹, 安居 由香¹, 井波 準治¹, 南坂 朋子², 村上 智江², 二井 理恵², 下山 寿²

Hirokazu FUJIWARA¹, Yoshiko FUJIWARA¹, Kazumi SAKAMORI¹, Yuka YASUI¹, Jyunji INAMI¹, Tomoko MINAMISAKA², Tomoe MURAKAMI², Rie FUTAI², Hisasi SHIMOYAMA²

¹市立伊丹病院医療技術部　臨床検査, ²市立伊丹病院循環器内科

¹Department of cardiovascular echolaboratory, Itami city hospital, ²Department of cardiology, Itami city hospital

キーワード :

【症例】
60歳男性
【現病歴】
2004年3月,急性心筋梗塞（前壁中隔梗塞）を発症．2006年5月,左室心尖部に9×19mmの壁在血栓を伴う心室瘤を認め,ワーファリンの内服を開始．以降,他院にて経過観察となる．その後2011年10月に心窩部痛にて当院を受診．ワーファリン内服を自己判断にて中止していた．左室壁在血栓及び心室瘤フォローのため心エコー検査を実施した．
【検査所見】
心エコー検査では前壁中隔側の壁運動低下,輝度上昇,菲薄化を認め,左室駆出率は43％であった．心尖部では心室瘤が形成され,同部位に付着する44×18mmの棒状で可動性のある巨大な壁在血栓を認めた．
【経過】
特に自覚症状を認めなかったことから,ワーファリン内服による経過観察となった．
【考察】
心室瘤は心筋梗塞発症後に合併し,前壁側から心尖部に好発すると言われている．また左室内血栓は前壁中隔梗塞後に心室瘤を形成した症例で発生頻度が高いとされる．今回の症例では前壁中隔梗塞後に左室壁在血栓が形成され,ワーファリンの内服中断により巨大化したと考えられる．
【結語】
今回我々は左室壁在血栓が巨大化した1例を経験したので報告する．