矢坂 正弘, 湧川 佳幸, 石川 英一, 脇坂 義信, 上床 武史, 田畑 絵美, 岡田 靖

Masahiro YASAKA, Yoshiyuki WAKUGAWA, Eiichi ISHIKAWA, Yoshinobu WAKISAKA, Takeshi UWATOKO, Emi TABATA, Yasushi OKADA

国立病院機構　九州医療センター脳血管神経内科

Department of Cerebrovascular Medicine, Kyushu Medical Center

キーワード :

【目的】
もやもや病ではしばしば内頸動脈起始部が急激な内頸動脈の狭小化が観察され,形状がChampagne bottle neckに類似することから,総頸動脈径の1/2以下に内頸動脈が狭小化する現象をChampagne bottle neck signとして報告した（J Ultrasound Med 2006;58:857-863）．しかし,これまでChampagne bottle neck signともやもや病の病期との関連性は十分には検討されていない．そこでもやもや病におけるChampagne bottle neck signと病期との関連性を調べた．
【方法】
対象は2005年から2009年に当院にてもやもや病と診断された30例（男性9例,女性21例,中央値43歳,14-74歳）である．もやもや病の病期分類は鈴木らの報告（鈴木二郎ら：脳神経1966;18:897）に従った（第1期：carotid fork狭小期,第2期：もやもや病初発期,脳内主幹動脈拡張,第3期：もやもや病増勢期,中および前大脳動脈脱落,第4期：もやもや細微期,後大脳動脈脱落,第5期：もやもや縮小期,内頸動脈系全主幹動脈消失,第6期：もやもや消失期,外頸動脈系よりのみの血流保全）．頸部エコーには7.5MHz以上の発振周波数を有するリニアー型探触子を用いて検討した．内頸動脈径が縮小し安定した部位の径を総頸動脈径で除して,値が1/2以下をChampagne bottle neck sign陽性と判断した．
【結果】
左右60側の病期は第1期5側,第2期0側,第3期43側,第4期11側,第5期0側,第6期1側であった．該当各病期におけるChampagne bottle neck sign陽性率は第1期が0％（0/5側）,第3期が86％（37/43側）,第4期が100％（11/11側）,第6期が100％（1/1側）であった．病期やChampagne bottle neck signに年齢や性差は関連しなかった．
【結論】
もやもや病におけるChampagne bottle neck signは第1期ではみられず,第3期以降で高率に見られるサインと考えられる．