Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
体表臓器:甲状腺1

(S493)

専用カプラ装着による甲状腺エラストグラフィーの定量診断の有用性について

Usefulness of quantitative thyroid elastography by new coupler

鈴木 眞一

Shinichi SUZUKI

福島県立医科大学器官制御外科学講座 乳腺内分泌甲状腺外科

Dept. of Breast Endocrine and Thyroid Surgery, Fukushima medical University

キーワード :

甲状腺・副甲状腺疾患の超音波診断において,Bモード,ドプラモードに次いでエラストグラフィー(組織弾性イメージング,elasticity imaging以下EI)が開発され,多く使用されるようになった.なかでも複合自己相関法のReal-time Tissue Elastgraphy(以下RTE)は一番最初に実用化され,多数の症例を経験している.RTEではGrade分類(臨床画像 27:92-97,2011)によって甲状腺良性結節は有意差を持って良性結節ではGrade1,2,悪性結節ではGrade3,4を示し,明らかに悪性結節のほうが歪まない,すわわち硬いことがわかった.また,RTEにおける定量診断としてStrain Ratio(結節のstrain/胸鎖乳突筋のstrain,以下SR)を求め,これも有意差を持って悪性の結節は低値を示し,良悪性のカットオフ値は0.4であった.RTEではとくに甲状腺濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別には有用であった.しかし,定量判定では有意差はあるものの良悪性判定においてオーバーラップするものがあり,対象としての胸鎖乳突筋ではなく,より再現性の高い標準物質が必要と思われた.そこで,最近開発されたエラストグラフィー専用のカプラ(L65用音響カプラ:EUZ-TECPL1)およびL65用音響カプラアタッチメント(EUZ-TEATC1)を用い検討したので報告する.対象は,当科で施行した甲状腺副甲状腺疾患50例である.方法はEUB7500,8500,7000,Preirus,Avius(いずれも日立メディコ)を用い,通常のRTEによるGrade 分類および胸鎖乳突筋およびカプラの歪みSRを測定し比較検討した.結果ではカプラ装着と非装着でGrade分類に不一致例を30%に認め,カプラ装着の方が良性例でGradeが低く出る傾向に有りより正確であった.またSRに関しても有意差をもって悪性で低いSRを示した.以上から今後はカプラ装着によるRTEの定量診断が有用と思われた.