Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児異常

(S467)

当科で胎児期に先天性肺嚢胞性腺腫様形成異常と診断した7症例の検討

The clinical outcome of 7 cases prenatally diagnosed as Congenital Cystic Adenomatoid Malformation

中原 万里子, 田嶋 敦, 松丸 葉月, 中嶋 友美, 野上 直子, 野島 美知夫, 吉田 幸洋

Mariko NAKAHARA, Atsushi TAJIMA, Hazuki MATSUMARU, Tomomi NAKAJIMA, Naoko NOGAMI, Michio NOJIMA, Koyo YOSHIDA

順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Juntendo University Urayasu Hospital

キーワード :

【目的】
先天性肺嚢胞性腺腫様形成異常(Congenital Cystic Adenomatoid Malformation:以下CCAM)は,妊娠5-6週から細気管支の発生成熟障害や局所的な肺異形成等が原因となり多嚢胞性肺腫瘤を生じる,出生2万5千-3万5千例に1例の稀な疾患である.胎児期にCCAMと診断される胎児の予後には,自然軽快するものから胎児水腫に至るものまでさまざまな転帰があるが,現在のところ予測不可能である.
【対象・方法】
今回我々は,当科で胎児期に超音波検査によってCCAMと診断された7症例について,Adzickらの分類に従って超音波上の嚢胞径が 5 mm以上の症例をmacrocystic type,5 mm未満の症例をmicrocystic typeと分類し,妊娠経過及び出生後の予後について検討した.
【結果】
胎児期にCCAMの診断となった7例中,超音波上microcystic typeが6例,macrocystic typeが1例であった.また,左肺に病変を認めるものが6例,右肺に病変を認めるものが1例であった.それぞれ妊娠19-26週に超音波上肺嚢胞性病変を認めCCAMの診断となったが,その後6例が胎児期に超音波上の異常所見が消失し,消失時期は25-35週であった.7例中すでに6例が出生に至ったが,すべて正期産であり児の出生体重は2812-4018gであった(1例は現在当科で妊娠経過観察中である).出生した児は男児が5例,女児が1例で,出生後に施行したX線CT検査で4例にCCAMの所見を認めた.このうち3例はいずれも超音波上は病変が消失しており,3例は外科的治療の適応となった.それぞれ1歳-4歳で左肺の嚢胞性病変に対し胸腔鏡下切除を行った.出生後のX線CT検査で肺嚢胞性病変を認めなかった3例においても,2例で肺炎像を認めた.
【結語】
今回胎児期にCCAMと診断した7例を後方視的に検討した.いずれも胎児水腫に至ることなく比較的良好な経過を辿ったが,胎児超音波上CCAMの所見が消失した例においても出生後のX線CTで肺嚢胞性病変や肺炎像を認めた例があった.CCAMの診断には胎児超音波及び出生後のCT検査がいずれも有用であると考えられた.胎児期にCCAMの診断に至り,消失した例においても肺炎をきたす可能性があり出生後も注意深い経過観察が必要と考えられた.