Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
産婦人科:婦人科腫瘍

(S462)

超音波内視鏡を使用し小さい子宮筋腫まで核出し得た多発子宮筋腫の一例

Successful myomectomy of multiple small nodes by using ultrasound endoscopy

田中 可子, 石川 哲也, 長島 稔, 飯塚 千祥, 宮本 真豪, 市原 三義, 森岡 幹, 岡井 崇

Kanako TANAKA, Tetsuya ISHIKAWA, Minoru NAGASHIMA, Chiaki IITSUKA, Shingo MIYAMOTO, Mitsuyoshi ICHIHARA, Miki MORIOKA, Takashi OKAI

昭和大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Showa university

キーワード :

腹腔鏡下子宮筋腫核出術では,大きい子宮筋腫は見逃すことなく核出可能であるが,15mm大以下の筋腫核になると術中所見だけでは核出することが困難となる場合が多い.筋腫核を残した場合,残存した小さい筋腫が術後に成長し,不妊や月経過多の原因となることもある.今回我々は,腹腔鏡下筋腫核出術において術中に超音波内視鏡を使用し,小さい筋層内子宮筋腫を残すことなく核出し得たので報告する.症例は41歳,0経妊0経産,未婚.下腹部違和感を主訴に外来を受診した.経腟超音波では約10 p大の子宮筋腫を認め,MRIでも子宮前壁筋層内に11.7×13.2×9.1mm大の,また子宮後壁筋層内に内膜に接して存在する12mm大と8mm大の子宮筋腫を認めた.後の挙児希望もあり,腹腔鏡下子宮筋腫核出術の予定とした.主要な筋腫の核出後に,術中超音波内視鏡を使用して子宮に直接プローベをあて残存する筋層内子宮筋腫を検出し切開点を決定する方針とした.術中,主要な筋腫を核出すると,筋層からの出血で術野が不明瞭となり,肉眼では残存する小さい筋腫核を確認することは困難であった.そこで,超音波内視鏡を用い切開創内と子宮壁からの両方からプローベをあて,多方向から筋腫核の存在を確認した.確認後筋腫核の直上に切開点を置くことができ,筋腫をスムーズに核出し得た.手術時間は2時間15分,術中出血量500ml,筋腫の総重量845gであった.術後は軽度の貧血を認めたが,鉄剤を投与することなく術後5日目で退院となった.術中に超音波内視鏡を使用することで,子宮筋層の切開を最小限に留めることができ,子宮内膜に穿通することなく筋腫を核出することができた.多発子宮筋腫の症例における超音波内視鏡の術中使用は見逃されがちな小さい筋層内筋腫を核出し,最適の切開点を決定して筋層内切開を最小限に抑えるために有用であると考えられれた.