Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:肝癌・治療

(S446)

日立メディコ社製コンベックス型穿刺専用プローブEUP-B715の使用経験

Usefulness of a new convex probe especially designed for US guidance (EUP-B715, Hitachi Medical corp.), our initial experiences

幡丸 景一1, 木村 達1, 喜多 竜一1, 西川 浩樹1, 那須 章弘1, 坂本 梓1, 岡部 純弘1, 大崎 往夫1, 谷口 敏勝2

Keiichi HATAMARU1, Toru KIMURA1, Ryuichi KITA1, Hiroki NISHIKAWA1, Akihiro NASU1, Azusa SAKAMOTO1, Sumihiro OKABE1, Yukio OSAKI1, Toshikatsu TANIGUCHI2

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院超音波検査室

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Osaka Red Cross Hospital, 2Department of Diagnostic Ultrasound, Osaka Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
肝細胞癌に対するラジオ波熱凝固療法(RFA)は,小型肝細胞癌に対する標準的治療として広く普及している.当院では,RFAを,全て超音波誘導下に経皮的に行っている.各種画像診断の進歩により,より小さな肝細胞癌や早期肝細胞癌が診断される機会が増加し,超音波誘導下の経皮的穿刺処置にも,より高いレベルの精度が求められるようになっている.当院では,経皮的穿刺処置には,日立メディコ社製超音波診断装置とコンベックス型穿刺専用プローブ(EUP-B514)を主力装置として使用してきた.穿刺専用プローブに求められる機能として,通常のプローブに求められる,良好なB-mode画質,Sonazoidやrealtime virtual sonogoraphyに対応することなどに加えて,使いやすく高い精度で穿刺針をガイドする構造とプローブ本体を容易に清潔に保つことができる工夫が求められる.今回我々は,2011年6月より,新しい体外式コンベックス型穿刺専用プローブ EUP-B715を導入し使用する機会を得て,従来のプローブと比較し,その長所と問題点について検討したので報告する.
【対象および方法】
2011年6月より2011年11月末までに,超音波診断装置HI VISION Preirusと穿刺専用プローブEUP-B715の組み合わせで施行したRFA125セッション(男女比=86:39, 平均年齢71才)を対象とした.穿刺専用プローブEUP-B715の仕様および特徴を述べる.本プローブは,通常の3.5MHz腹部用コンベックス型プローブ(EUP-C715)をベースに,穿刺ラインを皮膚との接着面から描出できるように,音響放射面の一部を削り,削った部位にディスポーザブルの穿刺アタッチメントを装着して使用する構造となっている.穿刺時に,穿刺針を皮膚との接着面から標的部位までの全経路をB-mode画面上に描出することができる.穿刺ラインは,体表から90, 75, 60度の3種類の角度を選ぶことができる.従来のEUP-B514と比較すると,全体の画質の向上に加えて,滅菌カバーに対応しプローブの洗浄・滅菌が不要となった点が最大の特徴である.
【成績】
従来のEUP-B514では,使用の際にはプローブ自体の洗浄・滅菌が必須である.同一日に複数件の穿刺治療を行う場合にこの洗浄・滅菌操作が大きな支障となるのと同時に,頻回の洗浄・滅菌操作によるプローブ自体の劣化が問題となった.新プローブ(EUP-B715)では滅菌カバーをかけ,ディスポーザブルの穿刺アダプタを装着して使用することにより,この問題は完全に解決された.プローブ自体の性能の向上による,B-mode画質の向上,Sonazoid造影画質の向上,ペネトレーションの改善を実感することができた.しかし,問題点も存在した.最大の問題は,プローブに滅菌カバーをかけた後に穿刺アダプタを的確に装着することが難しく,注意を要する点である.穿刺アダプタの先端は,小さな突起部分で本体プローブと固定される構造となっているが,滅菌カバーを装着した後では,この部分が外れやすく安定感に劣る.その結果,プローブと穿刺アダプタとの間に隙間が生じやすく,広い隙間が生じた際には,B-mode画面上に穿刺針が描出されない危険な状態になりうる.また,滅菌カバーを装着する際に,音響放射面の滅菌カバーに皺が生じやすく,多数の皺が生じた際には画質の低下の原因となりうる.当日は,具体例を例示する
【結語】
新しい穿刺専用プローブを従来のプローブと比較して,その有用性と問題点を報告した.滅菌カバーに対応した点が最大の利点であると同時に画質の向上も認められたが,若干の問題点が存在し,今後の更なる改良が望まれる.