Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:その他3

(S444)

研修医に対する腹部エコー教育について

The education of abdominal ultrasonography for junior resident doctors

井谷 智尚1, 内田 浩也2, 登尾 薫2, 佐藤 信浩2, 山野 愛美2, 森 悠香2, 村上 坤太郎1, 佐々木 綾香1, 後藤 規弘1, 三村 純1

Toshinao ITANI1, Hiroya UCHIDA2, Kaoru NOBORIO2, Nobuhiro SATO2, Manami YAMANO2, Yuuka MORI2, Shintarou MURAKAMI1, Ayaka SASAKI1, Norihiro GOTOU1, Jun MIMURA1

1西神戸医療センター消化器科, 2西神戸医療センター臨床検査技術部

1Department of Gastroenterology and hepatology, Nishi-kobe Medical Center, 2Clinical Laboratory, Nishi-kobe Medical Center

キーワード :

【はじめに】
近年,画像診断機器の進歩は目覚ましく,特にCTにおいては解像度の高い64列を使用している施設も多い.当院においても,夜間や休日でも常時撮影可能である.そのような体制下でも腹部超音波検査は救急外来において必須のアイテムとして広く用いられ,救急外来で初期診療にあたる研修医にとって,早急に修得したい手技の一つとされている.当院消化器科では研修医教育の一環として腹部超音波室の協力のもとで,救急外来での初期対応ができることを目標とした『腹部エコーマスターコース』を2006年より実施している.
【目的】
当院における『腹部エコーマスターコース』の有用性を明らかにする.
【方法】
コースはすべて腹部超音波室で行われる.Step 0:コース開始に先立って『腹部エコーマスターコースの心得』を読み,マナーやコースの概要を知る.またエコー機器やデータファイリングシステムの正しい取扱方法・操作方法をマスターする.Step 1:消化器科医師・腹部エコー室検査士が実施するエコー検査を見学する(10例).Step 2:まず実際に研修医が検査を実施し,そのあと消化器科医師・検査士のチェックを得る(50例).Step 3:超音波検査士が行う実技試験(機器の操作30点,被検者の操作15点,検査時間5点,画像描出50点の計100点)及び超音波専門医が行う筆記試験(解剖25点,操作35点,症例40点の計100点)の両者に合格すれば,コース修了として認定証を交付している.また,研修医からの意見をアンケート調査を実施し抽出した.
【結果】
平成18年から現在まで,54名の研修医が 『腹部エコーマスターコース』 に参加した.そのうち計18名(33%)がコースを修了し,日常診療に役立ててもらっている.現在,筆記試験待ちが1名,コース継続中が16名いる.また,他院で研修医を修了し,当院で消化器科専攻医(後期研修医)となった4名も,このコースに参加してもらっている.コース終了後のアンケート結果からは「救急外来で積極的に腹部エコーがあてられるようになった」「自分のエコーに,(少し)自信が持てるようになった」「実施症例数が決まっていて,その数を目指すことでモチベーションが上がった」との意見がある一方,修了に至らなかった研修医からは「実施症例数が50例と多すぎて,達成が難しい」「日常の診察が忙しくてエコー室に足を運べなかった」という意見もあった.
【考察】
研修医は比較的積極的に『マスターコース』に参加し,消化器科研修の一環として楽しんで取り組んでいるようであった.また,修了証の存在は同期や後輩研修医の励みにもなっているように見えた.しかし,コース修了の割合は33%と高くはなく,我々消化器科のスタッフからもっと積極的に声を掛けて,「マスターコース」に参加してもらいやすい雰囲気作りをするなどの工夫も必要と思われた.