Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:胆道1

(S436)

当院における胆嚢隆起性病変の検討

Study of gallbladder eleveted lesion in our hospital

一戸 利恵1, 玉野 正也2, 稲垣 正樹1, 谷塚 千賀子1, 望月 久江1, 内山 健二1, 瀧沢 義教1, 柴崎 光衛1, 党 雅子1, 春木 宏介1

Rie ICHINOHE1, Masaya TAMANO2, Masaki INAGAKI1, Chikako YATUKA1, Hisae MOCHIZUKI1, Kenji UCHIYAMA1, Yoshinori TAKIZAWA1, Mituei SHIBASAKI1, Masako TOU1, Kousuke HARUKI1

1獨協医科大学越谷病院臨床検査部, 2獨協医科大学越谷病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, Dokkyo Medical University Koshigaya Hospital, 2Department of Gastroenterology, Dokkyo Medical University Koshigaya Hospital

キーワード :

【目的】
超音波診断装置の進歩に伴って胆嚢の微細な隆起性病変の描出が可能となった.当院における腹部超音波検査症例の胆嚢隆起病変の実際を検討し,特に10mm以上の病変における胆嚢癌の頻度を検討することを目的とした.
【対象と方法】
2011年4月から10月に当院で腹部超音波検査を施行した2039例を対象とした.期間中に複数回の検査を受けている症例については直近の検査結果を検討に用いた.超音波診断装置は東芝社XarioXG,GE社LOGIQ9,日立社EUB-6000を用い,超音波検査士3名を含む6名の検査技師と,超音波専門医1名が検査を担当した.
【結果】
胆嚢隆起性病変は396/2039 (19.4%)に認めた.396例の平均年齢は59.8±13.9 (15-87)歳,男性198例,女性198例であった.最大径の平均は5.0±6.1 (1-60)mm,単発が131例 (33.1%),多発が265例 (66.9%)であった.超音波診断の内訳は,胆嚢ポリープ382例,胆嚢腫瘍4例,胆嚢癌10例であった.胆嚢ポリープと診断された382例中,最大径10mm以上のものは18例であり,4例に手術が施行された.これら4例の最終診断は胆嚢癌1例,胆嚢腺筋症1例,コレステロールポリープ2例であった.残りの14例はCT,MRIなどを併用して慎重に経過観察中である.胆嚢腫瘍と診断された4例の最大径はいずれも10mm以上 (11-34mm)であり,これらの2例は造影CTにて腺筋症1例,胆泥貯留1例と診断されたが,残る2例の最終診断は不明であった(通院中断1例,併存疾患により検査不能1例).胆嚢癌と診断された10例の最大径は全例10mm以上 (12-60mm)であり,これらの最終診断は,胆嚢癌6例(切除3例,切除不能3例),肝細胞癌2例,胆管細胞癌1例,不明1例(併存疾患により検査不能)であった.
【考察】
一般に胆嚢隆起性病変の頻度は5-10%とされているが,当院の検討では検査施行症例の20%近くに病変を認めた.この要因としては,診断装置の進歩の他に,当院の症例は健診やドックで胆嚢病変を指摘され,二次検査として超音波が予定されている件数が多いことが考えられた.10mm以上の胆嚢隆起性病変の25%が胆嚢癌とされているが,当院の症例では7/32例 (21.9%)であり,既報と同等であった.
【結論】
当院においては,胆嚢隆起性病変は19.4%の症例に認められ,10mm以上の病変の21.9%が胆嚢癌であった.