Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:膵2

(S418)

当院におけるIPMN 110例の臨床的検討(特に同時性,異時性発がんについて)

Incidence of synchronous and metachronous cancers in 110 patients of intraductal papillary neoplasm in our institute

中村 克也1, 平賀 真雄1, 坂口 右己1, 佐々木 崇1, 林 尚美1, 大久保 友紀1, 塩屋 晋吾1, 重田 浩一朗2

Katsuya NAKAMURA1, Masao HIRAGA1, Yuuki SAKAGUCHI1, Takashi SASAKI1, Naomi HAYASHI1, Yuki OOKUBO1, Shingo SHIOYA1, Kouichirou SHIGETA2

1霧島市立医師会医療センター超音波室, 2霧島市立医師会医療センター消化器内科

1Department of ultra sound, Kirishima Medical Center, 2Department of Gastroenterology, Kirishima Medical Center

キーワード :

【はじめに】
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,主膵管型,分枝型,混合型の3つの型に分類され近年の超音波やCTなどの画像診断法の発達普及により,発見される例が増えている.
IPMNは良性の過形成・腺腫から悪性の腺がんまで組織学的にさまざまのものがあり,良性から悪性へと次第に変化して行くと言われているが,高齢者が多くその対応には苦慮することも多い.また,IPMNを有する患者は胃・大腸などの他の臓器にも同時性・異時性にがんが合併し易いと言われている.
そこで今回,当院にてIPMNを指摘された症例の検討を行った.
【対象および方法】
2008年〜2011年にUSにてIPMNを指摘された110例を対象に,IPMN型・膵癌指摘時期・IPMNの存在部位・形態,ならびに他臓器がんの有無を集計した.
【結果】
IPMNの分類は主膵管型16例,分枝型90例,混合型4例,合計110例であった.
膵がんを認めた症例は全110例中6例(5.5%)で,主膵管型では4例(25%)分枝型では1例(1.1%)に膵癌を認めた.また膵癌例6例中同時性が5例(主膵管型4例,混合型1例)で,異時性1例は分枝型でIPMNを指摘されてから3年3ヶ月後での膵癌発見であった.
IPMNの存在部位は全体では体部35例,頭部32例,二部位以上23例,鉤部8例,尾部6例の順で,膵癌を認めた症例では体部3例,二部位以上2例,頭部1例で鉤部尾部の症例は見られなかった.
他臓器がんの症例は,13例(11.8%)で,胃癌6例・大腸癌6例・胆管癌1例であった.
【考察】
今回当院で経験したIPMN症例の集計では,全IPMN例に対する発がん頻度は5.5%で,膵がんの一般人口における発生頻度(約0.01%)と比較すると極めて高い.型別では主膵管型の25%,分枝型の1.1%に膵癌の合併を認めており,文献におけるIPMN例の発がん頻度と大差なかった.
これらを踏まえ,今後も厳重な経過観察を行っていく予定である.