Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:虚血など

(S386)

重症の睡眠時無呼吸症候群では左室および右室performanceが低下する

The influence of severe Sleeping Apnea Syndrome to Left and Right Ventricular performance : Analysis using TEI index and 2D Speckle Tracking Imaging

松井 泰樹, 茅野 博行, 福岡 裕人, 土至田 勉, 安達 太郎, 木庭 新治, 小林 洋一

Taiju MATSUI, Hiroyuki KAYANO, Hiroto FUKUOKA, Tsutomu TOSHIDA, Tarou ADACHI, Shinji KOBA, Yoichi KOBAYASHI

昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門

Department of Medicine, Division of Cardiology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【背景および目的】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は夜間高血圧や早朝高血圧に関連し,心血管イベントの危険因子であると報告されている.しかしSASが左心機能や右心機能に及ぼす影響は明らかにされていない.本研究の目的は器質的な心疾患を有さず正常血圧で管理されているSASの左室および右室performance(収縮能,拡張能,およびその総和)を評価検討することである.
【対象および方法】
対象はSASが疑われ睡眠ポリグラフィー検査(PSG)を施行した65歳以下の40例(平均年齢 52±9歳,男性32例,女性8例)である.全例とも器質的な心疾患を有してはおらず正常血圧(収縮期血圧<140mmHg かつ拡張期血圧<90mmHg)で管理されている.PSGの低呼吸・無呼吸指数(AHI)の値から重症群(AHI≧30, 20例)と軽中等度群(AHI<30: 20例) の二群に分けて以下の項目を比較した.測定項目はPSG施行日に身体所見(就眠前と早朝の収縮期血圧,心拍数,身長,体重,Body mass index,Weist径,首周囲径),早朝尿のノルアドレナリン濃度測定,心エコー図検査〔左室拡張末期径(cm),収縮末期径(cm),左室駆出率(%),左室重量(g),左右心室のTei-index,左室のlongitudinal global strain(%),右室自由壁のlongitudinal strain(%)〕を記録した.使用超音波装置は東芝社製のArtidaである.
【結果】
table参照.
【考察】
重症群は軽中等度群に比較して覚醒中の血圧に差は認められなかったが,肥満が強く心拍数が有意に高かった.尿中のノルアドレナリン濃度が高かったことから相対的に日昼に比べて夜間の交感神経活性が亢進しており夜間血圧が上昇していることが予測された.結果,左室心筋は肥大し左室重量が増大して左室の収縮および拡張能が低下したと考えられる.また重症群は右室も収縮および拡張能が低下していた.この正確なメカニズムは不明であるが,前負荷の影響や交感神経活性の亢進が関連していると考えられた.
【結語】
睡眠時無呼吸症候群は重症例では軽中等度例に比較して左室および右室のperformanceが低下していた.