Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:心不全

(S383)

心臓再同期療法の効果予測:ヘキサゴン解析を用いた検討

Usefulness of Novel Method for Displaying Left Ventricular Dyssynchrony to Predict Clinical Outcome after Cardiac Resynchronization Therapy

田中 恵美子

Emiko TANAKA

大阪医科大学附属病院中央検査部生理検査室

Clinical Laboratory, Osaka Medical College

キーワード :

【目的】
われわれは最近,組織ドプラ法に基づくdyssynchrony表示法であるヘキサゴン解析を提唱した(J Am Soc Echocardiogr 2008;21: 1236,Echocardiography 2011;28:870).今回の研究では,心臓再同期療法(CRT)の効果予測における本解析法の有用性について検討した.
【方法】
対象はCRTを施行した重症心不全患者35名(66±9歳,左室駆出率27±8%).ヘキサゴン解析(図左):心尖部長軸像左室3断面から組織ドプラ法を用い,基部6分画(前壁中隔,前壁,側壁,後壁,下壁,中隔)から時間速度曲線を抽出,心電図Q波から駆出期における曲線のピークまでの時間time-to-peak velocity(TPV)を計測した.続いて各TPVをベクトルとみなし,ベクトルの終点が6分画の解剖学的部位に一致するように放射状に配列した.ここで,6つのベクトルを統合したものをNet-delay(ms),統合ベクトルが指す部位をLatest site(°)とした.CRT施行後6ヶ月の時点で,左室収縮末期容量が15%以上増加した患者をリスポンダーとした.また,組織ドプラによる古典的指標といわれる左室基部および中部12分画におけるTPVの標準偏差(SD-12TPVs),および中隔と左室側壁におけるTPVの時間差(SL-delay)を対照指標として用いた.
【結果】
リスポンダーは21名であった.ROCカーブによると(Figure 2),SD-12TPVs,SL-delay,Net-delayのAUCはそれぞれ,0.74,0.75,0.77であった.同様に,陽性的中率はそれぞれ84%,71%,81%であった.しかし,Latest siteが側壁から後壁(60°-180°)であることを解析に加えると,Net-delayの陽性的中率は93%となった.
【結論】
単独のdyssynchrony指標(Net-delay)では,同じく組織ドプラ法に基づく従来の指標と比べ,予測の程度に差はみられないが,収縮遅延部位(latest site)を加味することにより,ヘキサゴン解析の有用性が増す可能性がある.