黒沢 幸嗣, 根岸 一明, 舘野 利絵子, 小保方 優, 北條 義明, 中島 正博, 小野 洋平, 福田 延昭, 倉林 正彦

Koji KUROSAWA, Kazuaki NEGISHI, Rieko TATENO, Masaru OBOKATA, Yoshiaki HOUJOU, Masahiro NAKAJIMA, Youhei ONO, Nobuaki FUKUDA, Masahiko KURABAYASHI

群馬大学医学部付属病院循環器内科

Department of Medicine and Biological Science, Gunma University Graduate School of Medicine

キーワード :

【目的】
CHA₂DS₂-VASc scoreは心房細動患者の塞栓リスクの評価に,CHADS₂ scoreより有用だとする報告がある．一方,経食道心エコー図検査で計測した左心耳血流速度も塞栓症と関係があると言われている．しかしCHA₂DS₂-VASc scoreと左心耳血流速度の関係は明らかではなく,その関係を検討した．
【方法】
2008年〜2011年に左心耳内血栓評価目的に経食道心エコー図検査を受けた連続155例を対象とした（年齢：65±12歳,洞調律：83例（54％）,心房性不整脈67例（43％）,ペースメーカーリズム：5例（3％））．透析患者,中等度以上の弁膜症患者は除外した．CHADS₂やCHA₂DS₂-VASc scoreと左心耳血流速度,BNPとの関連を調べた．
【結果】
左心耳血流速度（45±26 cm/s）とBNP（239±324 pg/ml）はCHA₂DS₂-VASc score（3.3±1.9）と有意に相関した（vs LAA flow, p=0.004; vs BNP p=0.031）が,CHADS₂ scoreとは相関しなかった（p=0.06; p=0.165）．CHA₂DS₂-VASc scoreの多変量解析では,年齢 （p=0.002）と心不全（p=0.025）が左心耳血流速度の独立した予測因子だった．
【結論】
CHA₂DS₂-VASc scoreは左心耳血流速度とBNPと有意に相関する．年齢と心不全は左心耳血流速度の独立した予測因子だった．