Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:新技術

(S378)

3次元壁運動トラッキング技術を用いたActivation Imaging

Activation Imaging based on 3-Dimensional Wall Motion Tracking technique

阿部 康彦, 橋本 新一, 川岸 哲也

Yasuhiko ABE, Shinichi HASHIMOTO, Tetsuya KAWAGISHI

東芝メディカルシステムズ株式会社超音波開発部

Ultrasound Systems Division, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【はじめに】
心臓再同期療法では左室収縮の機械的な非同期性が評価される.このために主に収縮末期でのピークstrainの時間ずれ等が用いられている.一方で,心筋の電気的な興奮と収縮は連関しており,この非同期性は収縮初期での電気刺激伝播の異常に関係が深いと考えられている.そこで,より早期に起こる現象の解析を目的として,収縮の立ち上がり時相での壁運動情報分布の変化を捉えて表現する手法(Activation Imaging: AI)を開発した.
【方法】
AIでは,心筋の3次元的な動きを追跡する技術(3DWMT)を用いて,局所の壁運動指標が1心拍中のピーク値に対して所定のレベルに到達する時間を色づけして表示する.この際,左室の内膜面全体について,一旦このレベルに到達した部位では到達時間に対応する色を保持する.レベルを比較的小さな値に設定することで,主に壁運動指標の立ち上がり時相の様子が表示される.今回は壁運動指標として面積変化率(Area Change ratio)を用いて,健常例でのAIのレベル設定依存を評価した.
【結果】
Fig.1にレベル設定(th)をa)0.05, b)0.10, c)0.20と変えてAIを試行した例(volume-rateは28.6vps)を示す.非同期のない健常例では,どの設定でも円周方向に一様な色づきが得られている.そして収縮初期に心尖部から弁輪部へ収縮していく様子を捉える観点では,0.10が適していると思われた.
【結語】
AIにより収縮の初期時相での壁運動情報分布の変化の可視化を行った.本法の臨床例での至適なレベル設定や,どの壁運動指標を用いるのが良いかについては,今後の医学研究を待ちたい.