Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:症例1

(S373)

冠動脈-肺動脈瘻瘤,大動脈-肺動脈瘻瘤の一例

A case of coronary pulmonary fistula, aortopulmonary fistula

橘 元見1, 湯本 晃久1, 藤尾 栄起1, 平見 良一1, 向原 直木1, 林 愛子2, 住ノ江 功夫2, 河谷 浩2

Motomi TACHIBANA1, Akihisa YUMOTO1, Hideki FUJIO1, Ryouichi HIRAMI1, Naoki MUKOHARA1, Aiko HAYASHI2, Isao SUMINOE2, Hiroshi KOUDANI2

1姫路赤十字病院循環器内科, 2姫路赤十字病院検査技術部

1cardiology, himeji red cross hospital, 2clinical laboratory, himeji red cross hospital

キーワード :

【症例】
83歳女性
【主訴】
動悸
【現病歴】
高血圧で近医加療中,2011年7月1日動悸を主訴に同院受診.心電図にて上室性期外収縮の頻発を認め当院紹介となった.
【現症】
血圧150/78mmHg,脈拍91回/分,SpO2 97%,心音整,心雑音なし,呼吸音清,呼吸回数12回/分,腹部所見なし.
【検査所見・経過】
来院時,心電図は正常洞調律で動悸は消失していた.胸部レントゲンにて心陰影左側に接して腫瘤影を認めたため胸部CT施行.CTにて心嚢内に造影早期相から造影される47mm×33mm大の腫瘤影を認めた.心臓超音波検査では,肺動脈弁直上レベルの肺動脈に接して同腫瘤がみられ,カラードップラーにて瘤から肺動脈へのシャント血流を認めた.入院の上,後日冠動脈造影検査を行ったところ,左冠動脈前下行枝から分岐する異常血管と右バルサルバ洞レベルの大動脈から直接分岐する異常血管がそれぞれ瘤への流入血管となっていることが判明したが瘤のサイズが大きく流出血管は不明であった.後日行った冠動脈CTにて,右バルサルバ洞からの異常血管と左冠動脈前下行枝からの異常血管が合流し瘤への流入血管となっていることが判明したが,明らかな流出路は不明であり,心臓超音波検査と合わせ,肺動脈直上への流出部位を推定した.
【考察】
稀な先天性心疾患である冠動脈-肺動脈瘻,大動脈-肺動脈瘻の一例を経験したので報告する.冠動脈-肺動脈瘻瘤は報告によって異なるが先天性心疾患の0.2-0.4%とされているが,今回のような大動脈-肺動脈瘻との共通幹を形成後,瘤形成した報告は検索範囲内では1例のみであった.瘤のサイズが大きく,複雑に走行する異常血管との関連を1つのモダリティーで評価することは困難であり,超音波検査,冠動脈CT,血管撮影を複合した画像的評価が有用であった.現在血圧管理を行いつつ,手術の方向を含めて慎重に経過観察中である.