田端 強志¹, 杉山 祐公², 矢吹 憲子¹, 佐々木 健¹, 中神 隆洋², 平野 圭一², 高橋 真生², 野池 博文², 白井 厚治³, 東丸 貴信²

Tsuyoshi TABATA¹, Yuko SUGIYAMA², Noriko YABUKI¹, Takeshi SASAKI¹, Takahiro NAKAGAMI², Keiichi HIRANO², Mao TAKAHASHI², Hirohumi NOIKE², Kouji SHIRAI³, Takanobu TOMARU²

¹東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理機能検査部, ²東邦大学医療センター佐倉病院循環器センター, ³東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座

¹Depertment of Clinical Physiology, Toho University Medical Center Sakura Hospital, ²Depertment of Cardiovascular Center, Toho University Medical Center Sakura Hospital, ³Department of internal medicine, Toho University Medical Center Sakura Hospital

キーワード :

【目的】
高血圧患者においては左室肥大や左室拡張障害を来たすことが知られており,一方で動脈ステイフネスの増加は左室後負荷の増大を招くと考えられ,大動脈と左室の関連性を検討することは重要と思われる．そこで今回我々は,高血圧患者における動脈弾性指標であるCardio-Ankle Vascular Index（CAVI）と心エコーから求めた左室肥大様式との関連性について検討したので報告する．
【対象】
CAVIと心エコー検査を同時に施行した左室駆出率50％以上の高血圧患者連続318例．
平均年齢：66±10歳,　男性：187名,女性：131名．
ただし,心房細動,心筋症,心筋梗塞,中等度以上の弁膜症例はあらかじめ対象から除外した．
【方法】
CAVIはフクダ電子社製VaSeraVS-1000を使用した．心エコー検査では,左房径（LAD）や左室拡張末期径（LVDd）,左室収縮末期径（LVDs）,心室中隔厚（IVST）,左室後壁厚（LVPWT）を計測した．パルスドプラ法で左室流入血流速度から拡張早期波（E）と心房収縮期波（A）を計測し,E/Aを算出した．組織ドプラ法の僧帽弁輪部運動速度より収縮期最大運動速度（S´）と拡張早期運動速度（E´）を計測した．左室心筋重量（LVmass）はLVmass=1.04［（LVDd＋LVPWT＋IVST）3-LVDd3］×0.8+0.6から求め,体表面積で除した左室心筋重量係数（LVmass Index:LVMI）を算出した．左室肥大様式は,このLVMIと相対的左室壁厚より正常（NG）,中心性リモデリング（CR）,中心性肥大（CH）,遠心性肥大（EH）の4群に分け,4群間での比較・検討を行なった．
【結果】
4群間においてCAVIはNG群と比較し,CR群やCH群で有意に高値を示した．拡張能指標であるE/AはNG群と比較し,CR群やCH群で有意に低値を示し,E´もNG群と比較し,CR群やCH群で有意に低値を示した．収縮能指標であるS´はNG群と比べてCH群で有意に低値を示した．
【結語】
高血圧患者において,動脈ステイフネスや左心室機能は左室肥大様式によって異なることが示唆された．