Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:イメージングⅡ・ファントム

(S349)

サイドローブを低減した心臓の高速超音波イメージング

High Frame Rate Ultrasonic Imaging of the Heart with Reduced Sidelobe Level

長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学大学院工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
近年,心機能・心筋性状の評価のためには,非常に短時間(10 ms程度)に生じる心臓壁振動の伝搬などの計測が有用であることが示され[1],我々はそのために必要な数百Hz程度の高いフレームレート(FR)を実現した [2].しかし,従来法に比べ若干のサイドローブレベル上昇が見られたため,本報告ではサイドローブレベルを低減する方法を述べる.
【原理】
従来のセクタ走査では送信・受信ともに集束ビームを形成するため,FRは(送信繰り返し周波数)/(走査線数) となる.一方,parallel beam forming (PBF) [3] では,集束しない広いビームを送信し,そのビーム内に複数の受信ビームを形成する.したがって,従来のセクタ走査と同じ走査線数を得るために必要な送信回数を減少させることができるが,PBFでは送信ビームを集束させないため,通常はサイドローブレベルが上昇する.本研究では,焦点近傍からの散乱波を超音波プローブの各素子で受信した場合,隣り合う素子の受信信号の位相差が常に一定であるのに対し,焦点から離れた場所からの散乱波(サイドローブによる成分)を受信した場合は位相差が一定でないことを利用してサイドローブによる散乱波を抑圧する.具体的には,隣り合う素子で受信した信号間の振幅二乗コヒーレンス関数を用いてビームフォーミング後の信号に重み付けを行う.
【実験結果】
図は,水中の細径ワイヤ(直径0.1 mm)をイメージングした際のラテラル方向の点拡がり関数を示している.従来のビームフォーミング法(送信,受信ともに集束ビームを使用),PBF (重み付け無),PBF (重み付け有)により得られた結果を示しているが,重み付け無しの場合は従来法に比べサイドローブレベルが8.5 dB上昇しているのに対し,重み付けを行うことにより従来法より4.8 dB低いサイドローブレベルが実現されている.
【総括】
本報告では,PBFによる高速超音波心臓断層法におけるサイドローブレベル低減について検討を行い,受信信号のコヒーレンスを評価することにより従来法よりサイドローブレベルを低減できることを示した.
【参考文献】
[1]Kanai, IEEE Trans UFFC, 2005.
[2]Hasegawa and Kanai, J Med Ultrason, 2011.
[3]Shattuck, et al.: J Acoust Soc Am, 1984.