Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:治療・生体作用

(S348)

培養細胞へのsiRNA導入における超音波診断装置の有用性

Ultrasonography useful for introduction of siRNA into cultured cells

富澤 稔1, 篠崎 文信2, 杉山 隆夫3, 山本 重則4, 末石 眞3, 吉田 孝宣5

Minoru TOMIZAWA1, Fuminobu SHINOZAKI2, Takao SUGIYAMA3, Shigenori YAMAMOTO4, Makoto SUEISHI3, Takanobu YOSHIDA5

1独立行政法人国立病院機構 下志津病院消化器内科, 2独立行政法人国立病院機構 下志津病院放射線科, 3独立行政法人国立病院機構 下志津病院リウマチ科, 4独立行政法人国立病院機構 下志津病院小児科, 5独立行政法人国立病院機構 下志津病院内科

1Department of Gastroenterology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 2Department of Radiology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 3Department of Rheumatology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 4Department of Pediatrics, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, 5Department of Internal Medicine, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital

キーワード :

【目的】
超音波診断装置はリアルタイムに照射野を確認することができる.Frizzled(Fz)-9は細胞の分化と増殖に関与するWnt pathwayのレセプターで,siRNAにて発現を抑制すると培養細胞の増殖が抑制されることが判明している(Fujimoto et al. Int J Onocl 35, 861, 2009).そこで今回我々は超音波診断装置を用いてFz9のsiRNAを培養細胞への導入を試みた.
【方法】
Hep3B(肝癌細胞株)に蛍光標識したdouble strand RNA(F-dsRNA)をLipofectamine 2000(Lipo)またはSSA-700A (東芝)による超音波照射(5分間)を用いて導入48時間後蛍光顕微鏡にて観察した.照射には8MHzリニアプローブを用い,mechanical index(MI)は装置の設定に従い0.4または0.8とした.Fz9に対するsiRNA(siRNA-Fz9)を導入48時間後にタンパク質を抽出し,抗Fz9抗体を用いてウェスタンブロット法,72時間後にMTSアッセイを行った.統計解析にTwo group t-test: unpairedを用いた.
【結果】
F-dsRNAの蛍光はUSではLipoに比して弱いものの,検出された.siRNA-Fz9を導入するとFz9の発現はLipoでは20nM,200nMともに低下した.超音波を照射するとMI=0.4では200nM,MI=0.8では20nM,200nMともにFz9の発現は低下した.細胞増殖は200nMではmockに比してLipoでは32.8 ± 13.6 %(P<0.0001),MI=0.4では36.9 ± 15.1 % (P=0.039),MI=0.8では49.2 ± 12.0 % (P=0.041)であった.遺伝子を導入しない群ではLipo,MI=0.4,MI=0.8ともにMTSアッセイで変化はなかった.
【結論】
超音波診断装置を用いてsiRNAが培養細胞に導入され,機能することが判明した.超音波診断装置は日常診療に使用されている.超音波診断装置を用いると目的とする部位に安全に遺伝子を導入できる可能性が示唆された.