Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:血流・ドプラ計測

(S337)

超音波ボリュームデータからの臓器内血管の3次元構造解析システムの開発

Development of three-dimensional analyzation system of blood vessel in an internal organ from ultrasound volume data

加藤 俊和1, BOSSARD Antoine1, 菅野 悠樹1, 桝田 晃司1, 宮本 義孝2, 千葉 敏雄2

Toshikazu KATO1, Antoine BOSSARD1, Yuki SUGANO1, Kohji MASUDA1, Yoshitaka MIYAMOTO2, Toshio CHIBA2

1東京農工大学大学院生物システム応用科学府, 2国立成育医療センター臨床研究開発部

1Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo Univ. of Agriculture and Technology, 2Department of Clinical Research Development, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【はじめに】
我々はこれまで,超音波を用いた微小気泡の生体内制御を目指し,分岐を有する模擬血管において超音波照射による微小気泡の能動的流路選択法に関する研究を進めてきた[1, 2].しかし,生体内へ応用する場合,目標部位に至る血管経路を正確に選択し,微小気泡の誘導を行うためには血管構造の把握,特に血管分岐部の3次元分布情報が必要であり,従来の超音波診断装置では血管分岐部の3次元分布を取得することが不可能であった.そこで本研究では,臓器内血管網を含む超音波ボリュームデータに対して3次元構造解析処理を行うことで血管分岐部の3次元分布を取得可能とするシステムを開発した.
【方法と結果】
まず,腎臓の長軸断面を撮像できる体表面上の位置にプローブ先端を当ててパワードプラ画像を取得することにより,腎臓内血管網を含むボリュームデータを取得した.そして,得られたボリュームデータに対して3次元モルフォロジー演算処理を施し,血管領域に存在する空洞や微細なノイズを除去した.次に,3次元細線化処理を施すことにより血管芯線を抽出し,さらに最小二乗法を用いた血管形状の欠損部位の補間手法から,拍動等の影響により欠損が生じた部分の補間を行った.最後に,抽出した血管芯線に対して血管分岐部の検出を行った.これら一連の3次元構造解析処理[3]を用いることで,図に示すような腎臓内血管の分岐部の3次元分布の取得を実現した.これにより,血管の方向・長さ・接続関係なども明確になり,血管上流部から標的部位へ通じる血管網の3次元構造の把握が可能となった.
【まとめ】
本研究では超音波ボリュームデータに対して3次元構造解析処理を行うことで,血管分岐部の3次元分布の取得を可能とした.よって,本システムを利用すれば我々が研究を進めている生体内における微小気泡の制御のために必要な超音波音源の位置や照射方向の3次元的な検討が可能となる事が示された.今後は血管上流部から治療対象部位へと続く血管経路を血管網の中から抽出可能なシステムへ発展させる.
【参考文献】
[1]渡會ほか:超音波医学,Vol.38, No.4, pp.433-445, 2011
[2]K. Masuda, et al, JJAP, Vol.49, No.7, 07HF11, 2010
[3]加藤ほか:生体医工学,Vol.49, No.6, 印刷中