Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:血管・心臓

(S332)

心筋運動の高時間分解能計測のための最適な相関窓幅の検討

Optimization of Correlation Kernel Size for Estimation of Heart Wall Motion at High Temporal Resolution

本庄 泰徳1, 浅利 大2, 長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Yasunori HONJO1, Dai ASARI2, Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1Department of Biomedical Engineering, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Department of Electronic Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
従来のスペックルトラッキング法は,変位や速度の結果に関わるパラメータ(相関窓幅)の検討が十分に行なわれていない.本研究は,心室中隔壁における相関窓幅に関して超音波焦域をもとに最適な大きさを検討した.本報告では,40, 80 mmの深さに設置したシリコーン板を境界から1.5 mm間隔でトラッキングし,様々な位置に対応した最適な相関窓幅を決定する.さらに,心室中隔壁と左室後壁の厚み変化速度を高時間分解能で推定し,心筋の電気的興奮の観察を目指す.
【対象と方法】
相関窓を2変量正規分布として,その正規分布のラテラル方向と深さ方向の標準偏差(σl, σd)を超音波の焦域(Δl, Δd)(図1(a))と変数αを用いて設定した[1].水槽内深さ40, 80 mmの位置にシリコーン板を設置し,取得したRF信号に白色雑音を付加させ,白色雑音の振幅変数βを変化させることでSN比(SNR)を変えた.変数αと変数βごとに推定された変位とシリコーン板の変位の真値との二乗平均平方根(RMS)誤差を用いて最適な窓幅の検討を行った.
【結果と結論】
図1にRMS誤差が最小となったときの変数αをSNR, シリコーン板内のトラッキング位置(p1, p2, …, p5)ごとに示した.変数αの値はSNRが20 dB以上であればほぼ一定の値となった.このことから,相関窓幅の最適な大きさは,あらかじめ超音波焦域を測定しておき,SN比を推定すれば最適な窓幅を決定できる.さらに,図1をもとに最適な窓幅を用いて心室中隔壁と左室後壁の厚み変化速度を推定した.今回計測した心室中隔壁と左室後壁のSN比は20 dB以上であったため,使用した相関窓幅は,心臓壁の境界付近(3 mm)では超音波焦域に対して1.7倍,心臓壁内部では1.0倍の領域を標準偏差とする正規分布として設定した.図3は,電気信号が心室中隔壁を経って伝播する時相においてラテラル方向の厚み変化速度を示した.心室中隔壁で,心基部側から心尖側に速度1.3 m/sで収縮成分が伝播することが分かった.この速度は,心室筋での電気信号の伝播速度と同様の結果が得ることができ,電気信号に対する心筋の応答を可視化できる可能性を示した.
【参考文献】
[1]Y. Honjo et. al., Jpn J. Appl. Phys., Vol. 49, No. 7, pp. 07HF14-1-07HF14-9, 2010.