Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

奨励賞演題:消化器

(S325)

早期慢性膵炎におけるEUS画像の臨床的意義

The clinical significance of EUS images of early chronic pancreatitis

門阪 薫平, 北野 雅之, 工藤 正俊

Kumpei KADOSAKA, Masayuki KITANO, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部付属病院消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine

キーワード :

【目的】
慢性膵炎臨床診断基準2009年において,新たに早期慢性膵炎の診断基準が提唱され,超音波内視鏡(EUS)の重要性が明記された.今回,我々は,早期慢性膵炎の各EUS画像所見の臨床的意義を検討した.
【方法】
2009年4月から2011年3月までに当院にてEUSを施行した1732例のEUS動画画像における膵実質像を再評価し,早期慢性膵炎のEUS画像所見(Lobularity with honeycombing,Lobularity without honeycombing,Hyperechoic foci without shadowing,Strands,Cysts,Dilated side Branches,Hyperechoic MPD margin)が2項目以上を呈した症例を対象とした.(1)反復する上腹部痛,(2)膵酵素異常,(3)1日80g以上の持続する飲酒歴,(4)糖尿病,(5)高脂血症,(6)BMI25以上の有無でEUS画像所見陽性項目数(2〜7)の比較検討を行った.また,各EUS画像所見陽性例における(1)〜(6)の有無を評価した.
【結果】
1732例のうち,早期慢性膵炎の画像所見を満たす症例は17.8%存在し,それぞれのEUS画像所見項目の陽性数(率)はLobularity with honeycombing 4.5%,Lobularity without honeycombing 15.6%,Hyperechoic foci without shadowing 61.7%,Strands 47.1%,Cysts 66.9%,Dilated side Branches 11.7%,Hyperechoic MPD margin 50.3%であった.上腹部痛発作,飲酒歴および膵酵素異常陽性例の方がそれぞれの陰性例と比較し,有意に陽性項目数が多かった.一方,Hyperechoic foci without shadowing陽性例では陰性例と比較すると膵酵素異常,糖尿病,高脂血症,BMI25以上の陽性率が有意に高値であった(全てp<0.01).Strands陽性例およびHyperechoic MPD margin陽性例では,それぞれの陰性例と比較すると反復する上腹部痛の陽性率が有意に高値であった(p<0.01).
【結論】
上腹部痛発作,膵酵素異常の存在する症例において陽性項目数が多いことより,病状進行とともにEUS像が顕著となることが考えられた.さらにStrandsとHyperechoic MPD marginは膵炎の活動性,Hyperechoic foci without shadowingは代謝異常に関連していることが示唆された.