Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 産婦人科
ワークショップ12 ここまで来た経会陰超音波

(S289)

経腟と経会陰超音波検査による女性骨盤底弛緩の評価

Evaluation of the female pelvic floor relaxation by trans-labial and trans-introital ultrasonography

中田 真木

Maki NAKATA

三井記念病院産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Mitsui Memorial Hospital

キーワード :

【目的】
骨盤臓器脱(以下,POP)の評価は,古くは診察所見に立脚し,腹圧性尿失禁(以下,SUI)における流出路の形態評価は造影検査によることが多かった.技術的には,こんにちtrans-labial ultrasonography(以下,TL) および trans-introital ultrasonography(以下,TI)により,これらの骨盤底弛緩を手軽に観察できるようになっている.本報告では,これらの検査法を用いる骨盤底弛緩関連の観察項目について,画像の実例を挙げて検討する.
【対象と方法】
2010年1月以降,POPとSUIによる当科の受診者に,超音波検査による系統的な観察を行った.画像データ(断層像静止,同動画,ボリュームデータからのTUI)は,検査装置から医療記録(電子カルテ)用の集中サーバーに送り出され,症例ごとに参照が可能になる.電子カルテ端末から参照による見直しを行った.
【結果・考察】
1)3D静止画像:経腟プローブの方が,コンベックスプローブよりも支持組織が精密に描出される.恥骨直腸筋や肛門挙筋プレートなどの支持組織の観察は,TI撮像によるボリュームデータの使用を基本にすべきである(図1).2)Dynamic ultrasonography:コンベックスプローブで行う必要がある.子宮摘除後症例の支持不全箇所の評価に決定的な強みがある.膀胱壁や尿道のディテールが見えるという利点があり,流出路の形態評価については膀胱尿道造影よりも情報が多い.肛門や尿道の歪みやずれがあるとき,一画面に正中矢状断面の目印構造を一括して描出できず,前後径の測定は不正確になる.3)限界について:プローブを押し当てることにより,計測データや臓器の輪郭,アライメントは,影響を受けている.子宮の屈曲や態勢,肛門括約筋のプローブに近い部分の歪みなどでアーチファクトがある.近づいて押し当てることをなるべく避け,ジェルを多めに使って離れたところから撮像するのが望ましい.
【結論】
TLとTI により,骨盤底弛緩の評価が簡単になり,しかも支持組織の弱体化,可動性増大の箇所,臓器の変形などについて豊富な情報が得られる.