宮田 剛, 北野 雅之, 工藤 正俊

Takeshi MIYATA, Masayuki KITANO, Masatoshi KUDO

近畿大学消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University

キーワード :

【目的】
EUSを用いたリンパ節転移を予測する形態学的特徴についての報告はあるものの感度,特異度ともに満足する結果が得られていないのが現状である．EUS-FNAは高い診断精度を有しているが,侵襲的な検査でありかつ介在血管や存在部位などにより全てのリンパ節に対して施行出来るわけではない．今回我々はCH-EUSを用いてリンパ節の良悪性診断が可能かどうかの検討を行った．
【対象と方法】
2010年11月から2011年9月までにBモードEUS（B-EUS）で描出され,引き続きCH-EUSを行った44例のリンパ節を対象とした．B-EUSでリンパ節を観察し,形態学的特徴として,大きさ（短軸,長軸）,形（円形,楕円形）,辺縁の特徴（sharp,fuzzy）を確認後,Sonazoidを静注し60秒間のリンパ節内血流を観察した．造影パターンとして,内部に不均一に染影される血流を認めるものをTypeⅠ,内部が均一に染影されるものをTypeⅡとし,TypeⅠを悪性示唆所見とした．（図1）良悪性診断は外科的切除およびEUS-FNAによる組織学的診断を基本とし,組織学的診断を得られなかったリンパ節に対しては6カ月後のサイズの変化で良悪性診断を行った．
【結果】
組織学的診断は切除8例,EUS-FNA29例で得られた．残りの7例は6カ月後のサイズの変化で診断した．過去の報告より,短軸長8mm以上,長軸長17mm以上,円形,辺縁sharpを悪性示唆所見としたところ,それぞれの場合の感度・特異度・正診率は100％・53％・61％（短軸長8mm以上）,75％・47％・52％（長軸長17mm以上）,63％・86％・82％（円形）および88％・25％・36％（辺縁sharp）であった．それに対しCH-EUSでは100％・94％・95％と短軸長,長軸長,辺縁の特徴による診断に比べ有意に良好な結果であった．形での診断とは有意な差は認めないもののp=0.11とCH-EUSにおいて良好な結果を示した．
【結語】
腹部リンパ節の良悪性診断においてCH-EUSは高い診断率を有しており,EUS-FNAを補完しうる診断法である．