Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
シンポジウム1 超音波を用いた肝細胞癌の診断および治療法の進歩

(S234)

肝細胞癌に対するRFA治療におけるVolume navigation technologyの有用性の検討

Effectiveness of radiofrequency ablation assisted by volume navigation technology for patients with hepatocellular carcinomas

大濱 日出子, 井倉 技, 今井 康陽, 牧野 祐紀, 小来田 幸世, 澤井 良之, 福田 和人, 黒川 正典

Hideko OHAMA, Takumi IGURA, Yasuharu IMAI, Yuki MAKINO, Sachiyo KOGITA, Yoshiyuki SAWAI, Kazuto FUKUDA, Masanori KUROKAWA

市立池田病院消化器内科

Department of Gastroenterology, IKEDA MUNICIPAL HOSPITAL

キーワード :

【背景】
我々は肝腫瘍の描出向上及び安全性向上のために,以前より積極的に造影エコー(CEUS)や人工胸腹水を併用しエコーガイド下で経皮的にラジオ波焼灼術(RFA)を施行してきた.また我々はEOB-MRIが肝細胞癌の診断・治療に有用であることを報告してきたが,しばしば他のModalityで検出されない早期肝細胞癌がEOM-MRIで検出されるようになった.このような腫瘍の診断・治療にはエコーと他のModalityのfusion画像をリアルタイムに作製することができるGE社のVolume Navigation (V-Navi)などのMultimodality fusion imagingが有用である.
【目的】
Multimodality fusion imagingの導入により肝細胞癌診療に与えるimpactを検討するため,LOGIQ E9導入前後でRFA治療がどのように変貌したか検証した.
【対象と方法】
LOGIQ E9導入前の2009年4月から2010年5月20日までにRFAを施行した84例116結節と導入後の2010年5月21日から2011年11月10日までにRFAを施行した110例180結節を対象とした.RFAの際にはB-modeで腫瘍が描出可能かどうかを3人以上の肝臓専門医で確認し,描出困難な場合には人工胸腹水やソナゾイド造影超音波も積極的に用いた.V-Naviを用いた場合はreferenceはEOB-MRIをはじめ,MDCT,CTHA/CTAP,US/CEUSのvolume dataなど腫瘍及びメルクマールとなる部位を最も描出しやすいと判断したものを選択した.RFAはRadionics社のcool-tip systemとBoston社のReveen needleを用いた.治療効果判定はRFA後3日以内に行い,5mm以上のマージンが確保出来るように治療計画を立て,少なくとも1mm以上のマージンが確保できるまでRFA治療を繰り返した.
【結果】
LOGIQ E9導入前後で治療対象腫瘍個数と腫瘍径は各々1.7 ± 0.93 vs 1.6 ± 0.84個,15.2 ± 6.6 mm vs 14.1 ± 5.85 mmで有意差はなかった.人工胸腹水を併用したものは70/116 vs 131/180で有意差はなく,B-modeで描出困難なものは2/116 vs 39/180 (P<0.01)でありV-Navi導入後はB-modeで描出困難例にも治療したが,治療セッション数は1.08 ± 0.28 vs 1.1 ± 0.33で有意差はなかった.尚,V-Navi導入後B-modeで描出困難な39結節は腫瘍径12.5 ± 5.28 mm,多血性腫瘍が34結節,乏血性が5結節であった.多血性腫瘍のうち5例は人工腹水下で描出可能で17例はCEUSを併用することで描出が可能であったが,乏血性腫瘍は5結節すべてがCEUSでも描出困難でEOB-MRI肝細胞相をreferenceとし治療した.
【結論】
V-Naviの導入により,B-modeやCEUSでも描出困難な腫瘍もエコーガイド下で確実で安全なRFA治療が可能となった.今後multimodality fusion imagingを用いることによる長期予後の検討なども必要だが,V-Naviは肝細胞癌治療に不可欠なtechnlogyであると考えられた.