Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 血管
シンポジウム11 「機能診断」としての血管エコーを活かす:他の診断法との比較から

(S221)

腎動脈狭窄症と腎機能評価における腎動脈エコーの有用性

Efficacy of renal artery duplex ultrasound for renal artery stenosis and renal function assessment.

小田代 敬太

Keita ODASHIRO

九州大学医学研究院 病態修復内科(第一内科)

Department of Medicine and Biosystemic science, Kyushu University

キーワード :

【目的】
腎動脈狭窄症と慢性腎臓病患者における腎動脈エコーの臨床における有用性を検討した.
【対象と方法】
1)腎動脈狭窄の有無と狭窄の程度,腎動脈狭窄症に対する血管内治療後の評価に血管エコーを用いた.腎動脈狭窄部位の最高収縮期血流速度,腎内血流を測定した.高度狭窄症例で血管内治療適応と判断した症例の術前術後の検討も行った.2)慢性腎臓病症例において腎血管抵抗Resistance Index(RI)を評価し,血液尿検査データとの比較検討を行った.
【結果】
腎動脈狭窄の原因疾患には粥状動脈硬化性,線維筋性異形成,大動脈炎症候群などがあるが,血管エコーは高度石灰化による診断不能例を除き腎動脈狭窄症の診断と鑑別に有用であった.腎動脈狭窄を早期に発見し,早期介入することが可能であった.腎動脈狭窄に対しての治療は近年血管形成術が広まってきた.線維筋性異形成ではバルーン拡張が主で,粥状動脈硬化性ではステント留置術が主であるが,術後の経過観察にはエコーが有用であった.慢性腎臓病症例においては腎実質の血流よりRIを求めることで腎実質障害を評価することが可能であり,RIとCKDステージは相関した.腎機能を血液データや尿検査のみでなくエコーでも評価することが可能であった.
【結論】
腎動脈狭窄症の診断と治療後の評価,慢性腎臓病患者の腎機能評価に腎動脈エコーは有用であった.